もっとアニメを観よう2011

第10回 池田東陽が選んだ
「カッコいいとはこういう事だ!」っていう15本(順不同)

 僕はクリエイターではないのでテクニカルな事はさっぱり分かりません。なので、そこら辺は皆様にお任せするとしまして、純粋にアニメファンとして感情移入して一喜一憂した作品、キャラクター、もっと言えば今の自分の人格形成や仕事のスタンスに大きな影響を与えた作品を挙げてみたいと思います。今回は僕的「カッコよさ」をテーマに厳選しました。

『ガンバの冒険[TV]』

これ以上にカッコよくて幼少時代の自分に影響を与えてくれた作品はないと思います。いちいち全シーンとキャラクター全員がカッコいい。クリークやオオミズナギドリ等を含めて全員が勇者でした。ノロイの最期の神々しさと言ったら鳥肌ものです。

『美少女戦士 セーラームーン』

僕の人生を狂わせてくれた大変迷惑な作品です。この作品がなければ業界には入っていなかったと断言できます。僕は月派なのですが「Dポイント」での4戦士のカッコいい散りざまに、子供のように号泣した学生時代でした。

『あれはだれ?』

岡本忠成氏による1976年の「毛糸アニメーション」。毛糸で描かれた可愛い動物達がシュールな笑いで楽しませてくれるフィルムです。発想の斬新さには目からウロコ。また観たいのだけどどこにも売ってない、誰か貸してください(涙目)。
(編注:池田さん、「岡本忠成作品集 Vol.2 」に収録されていますよ! Amazonで買えます!)

『美少女戦士 セーラームーンR[劇場]』

もはや語るべき事もありません。「Moon Revenge」のあのシーンの演出は思い出しただけでも今でも涙腺が緩みます。

『映画 クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦』

「これを実写でやってみやがれ!」っていうくらい気迫が伝わってくるフィルム。数ある『クレしん』劇場版は全て素晴らしいのですが、カッコよさで言ったら一番好きです。「映画」として尊敬に値する1本。「ぶりぶりざえもん」というスーパーヒーローの存在を知ってほしい。ラストカットで泣いてください。

『超電磁ロボ コン・バトラーV』

僕は今のところロボットアニメを創ろうという気が全くありません。なぜならば「レッツコンバイン!」の合体に勝てるだけのカッコよさが想像もつかないからです。バトルジェットがカメラなめてアップになってからのバトルクラッシャーのヒジのギミック。あれに勝てるわけがない。

『ポールの ミラクル大作戦』

ベルト・サタンの怖さといったら……。第1話初登場時の背描きサタンには泣きそうになりました。デザインが秀逸すぎます。ポールのファッション、オカルトハンマー後のヨーヨーやマシンのデザインのカッコよさ。後半のキノッピーのマシン(?)もカッコいい♪

『ふしぎの海の ナディア』

サンソンですね。よくもまぁこんなカッコいいキャラが生まれたものだと感心します。こういうサブでありながらキラーキャラがいてこそ作品というのは成立するのだなぁと思います。「奇跡っていうのは自分の手で起こすもんです!」「道なんてもんは俺達が通ったあとにできるんだ!」「ヤケになった人間が何をするかみてろー!」。

『タイガー マスク二世』(TV)

最初に憧れた二次元ヒーロー。今観ても驚くくらいプロレスというエンタメを理解している人達が関わっている事が分かります。プロレスのメカニズムを理解していないと、これだけのファンタジーやプロレスの浪花節を再現できない。もっと評価されるべき逸品。

『昆虫物語 みなしごハッチ[TV第1作]

』 昆虫物語と侮るなかれ。カマキチおじさんのカッコよさは異常です。オープニングでもおっかないカットで登場しますが、男なら絶対に男惚れするあの勇ましさと、その散りざま。

『アルプス物語 わたしのアンネット』

世界名作劇場シリーズでここまで残酷なヒロインはいません。幼少時代どんだけアンネットを憎んだ事か(苦笑)。しかし、その悪魔のようなヒロインに健気なまでに歩み寄っていくルシエン、君は最高にカッコいい!! 主人公は完全にルシエンです。

『無敵超人 ザンボット3』

勧善懲悪を排除したストーリーもさることながら、特にスタジオZの回は子供心に衝撃的でした。人もメカもみんな「色っぽい」。魅了されました。ロボットアニメはほとんど興味がない僕ですが、数少ないお気に入りです。

『科学忍者隊 ガッチャマン[TV]』

「G2号」に尽きます。カッコよさについて、これ以上語るべき単語(固有名詞)はありません。

『カレイドスター[TV&OVA]』

手前味噌&自画自賛で申し訳ありませんが、これだけカッコいい作品を世に送り出せた事は誇りです。

『ニルスの ふしぎな旅[TV]』

モルテン、外野のイヤミに腐らずによく頑張った! 僕達みたいな落ちこぼれどもに勇気をありがとう。夕暮れに渡り鳥の編隊飛行を見るたびに「あ、先頭はアッカ隊長なんだ。ビリっケツはモルテンなんだ」と思ってボーっと眺めています。

●PROFILE
池田東陽 プロデューサーとして『カレイドスター』『Romeo Juliet』などの作品を手がけ、現在は追崎史敏と設立した株式会社エンカレッジフィルムズの代表取締役を務める。佐藤順一監督のオリジナル新作『ウィッシュエンジェル ─翼は小さいけれど─』を準備中。

(10.12.14)