【artwork】『マイマイ新子と千年の魔法』
第12回 美術(2)

 本作ではロケハンはもちろん、執拗ともいえる資料収集が行われ、それに基づいて映像が作られている。その一例をお見せしよう。現地の発掘現場を写した写真、発掘調査の資料をもとに、1000年前の館を美術で再現していく過程が以下の画像から分かるだろう。

●国司館・発掘現場取材写真
ロケハンで撮った、推定・国司館とされる発掘現場写真。ということは、ここがほんとうに周防守の娘・清少納言の住居だった可能性もある。


●国司館・発掘調査報告書添図
すでに住宅が建ってしまって柱穴がわからなくなって部分を、発掘調査報告書から見つけ出し、ロケハン写真の柱穴を描きこんで全体像を推定する。庭には池があったらしい痕跡もあって、平安時代の寝殿造なのはまちがいなさそうだ。


●国司館・平面図(イメージスケッチ)
浦谷による整理。「西対屋(にしのたいのや)」が諾子の部屋。その北側の「厨(くりや)」が千古の仕事場でもある台所。


●国司館(美術設定ラフ)
上原がパースをつけて描き直す。これはラフ段階の絵。


●国司館とその周辺(美術設定)
完成した美術設定。周囲の家屋も描き足されている。


●国司館・寝殿(背景)
ただの地面にあいた柱穴だったものから始まって、これほどのイメージに育っていった。


●国司館・東の透渡殿(美術ボード)
国司館内の細部。遣水(やりみず)のほとりに生えるのは、木賊(とくさ)。どこかで実物を見てきたかのように景観が出来上がっている。


●国司館・寝殿 内部(イメージスケッチ)
浦谷が描いた寝殿の内部。このあたりが全然画面に出てこなかったのがとにかく残念。


●国司館・西対屋 内部(美術設定)
諾子の生活空間である西対屋はしっかりと美術設定が描かれている。


●国司館・西対屋(美術ボード)
諾子のひとり遊びの舞台。ガーリーに華やいだ色調を取り入れようとしている。このボードには、あとでデジタル的に加工を施し、3Dカメラ移動のあるカットに仕立てている。


【artwork】『マイマイ新子と千年の魔法』第13回へつづく

●『マイマイ新子と千年の魔法』公式サイト
http://www.mai-mai.jp

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