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■『グレンラガン』
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今こそ語ろう『天元突破グレンラガン』制作秘話!!
第23話 行くぞ 最後の戦いだ



第23話 行くぞ 最後の戦いだ
脚本/中島かずき
絵コンテ/佐伯昭志
演出/木村隆一
作画監督/平田雄三、小島大和
原画/三木俊明、嘉手苅睦、宮下雄次、小澤円、二宮壮史、鷲北恭太、板垣敦、秦洋美、村上真紀、吉元美妃、安食佳、外山陽介、いまざきいつき、西村広、平松禎史、福元敬子、冨田浩章、小竹歩、渡辺敬介、西垣庄子、横井将史、長谷川ひとみ、田中裕介、益山亮司、小島大和

●月落下阻止から1週間。新たにヴィラルを仲間に加えた大グレン団は、さらに結束を強めつつ、敵本拠地の探索を急いでいた。一方その頃、生まれ故郷のアダイ村を訪れていたロシウは……。『天元突破グレンラガン』最終ステージ第4部の幕開けは、ロシウのショッキングな行動をシリアスタッチで描くエピソード。もちろん重く沈痛なムードだけでは終わらず、しっかりカタルシスも与えてくれる。第8話とオーバーラップする平松禎史作画の豪快なロケットパンチ、ロシウとキノンの絆、そしてクライマックスの高揚感溢れる出撃シーンも見どころだ。ロシウ初登場編の第5話と同様、佐伯昭志が絵コンテを担当。


── 第4部は、監督としてはどのような心持ちで臨まれたんですか?
今石 どんな心持ちだったろうなあ……どんどん忘れていくなあ(苦笑)。
── そもそも、アニメで4部構成というのが珍しいですよね。
今石 そうですね。『(装甲騎兵)ボトムズ』ぐらいですか。
── しかも最終章は普通なら3本ぐらいで終わらせるものなのに、5本もあるという。
今石 僕としても、第4部は4本くらいのイメージだったんですけどね。とにかく勢いで最後まで行くところなので、そのぐらいだろうと。でも、ロシウ問題が残ってしまっていたので、やっぱり決着をつけなきゃいけないという事で、中島さんがきっちりシナリオに書いてきた。それで23話の内容が増えたのかな。
大塚 23話はまだ第3部だという気もするよね。
今石 うん。第4部に入るのは、ラスト5分くらいなんですよね。最後の方でやっと、宇宙を舞台にした話に進んでいく。
── ここから、わりと王道のSFアニメっぽい印象になりますが。
今石 そうですね。年代分けの話で言うと、時代を逆行していく感じなんですけど。第3部で1990年代まで来て、次は2000年代だという事になった時、「それはよく分からん」みたいな(笑)。そこまで来たら、「じゃあ自分達が今いちばんやりたい事をやればいいんじゃないの」という感じでやっていたと思います。


── 23話は、内容的にはいかがでしたか。
今石 まあ、やっぱりロシウですよね。シリーズ中では最後の静かなトーンの回でもある。
大塚 異色といえば異色だよね、雰囲気としても。でも、23話って好きだけどなあ。
今石 シリーズならではですよね、こういう感じが作れるのは。
大塚 それに、やっぱり5話との繋がりが強い回だから、コンテを同じ佐伯(昭志)君がやってくれたのもよかったと思う。
今石 それもあって彼に振ったんでしたっけ?
大塚 うん。本当はこの時期、佐伯君はできないはずだったんだよね。本来なら別の企画の準備で忙しかったはずなんだけど、ちょっとそっちが滞っていたので、「じゃあ今なら頼めるかも」という事でやってもらった。
今石 第4部では、佐伯君と平松さんが救世主になりましたね。
大塚 彼らがいなかったら、ちょっとヤバかったよね。ホントに人がいなくて。
今石 描ける人には、もうこれ以上は入らないくらい、キャパオーバーする量を詰め込んでて(笑)。あの2人なしには、第4部は崩壊してました。
── このあたりになると、週1本ずつ作っているぐらいの感じですか。
今石 そうですね。もう完全に週刊アニメを作っている感じではあったけど、作り方はちっとも変わってない(笑)。変わらないままやる! という。
大塚 僕の方では、23話と24話はほとんどノータッチで、多分、完成するまで見てないんじゃないかな。今石君はレイアウトとか見たんだっけ?
今石 いや、見てないですよ。全然見てないです、ウハハハ(笑)。
── コンテチェックまで、ですか。
今石 ええ。コンテチェックで一度見て、次に見るのはもうアフレコとか、ダビングとか、ダビ差し(ダビング用に画素材を新しいものに差し替える作業)の時。色がついた素材を見て「ああ、こうなったんだ」と。
── 演出の木村隆一さんという方は?
今石 『カレカノ(彼氏彼女の事情)』19話の演出をやってもらった木村君ですね。大体、困った時は彼に頼むので(笑)、再び演出をお願いしました。
大塚 キノンの「重くないですか?」っていう台詞は、シナリオになかったよね。コンテで入れたんだっけ?
今石 そうですね。あれにはもうビックリですよ(笑)。さすが佐伯君。
── 中島さんや今石さんのセンスではないですよね。
大塚 なんかちょっと恥ずかしい感じが、よかった(笑)。
今石 あのこっぱずかしさは非常にイイ感じでしたよ。アフレコの時、僕と中島さんはもう「ほぁ〜!?」みたいな状態で。
一同 (爆笑)
今石 よくもまあ臆面もなく……って感じなんだけど、でもこれこそがアニメだろう! と。
── キノンの株もここでかなり上がったんじゃないですか。
今石 そうですね。中島さんもよく言うんですけど、キノンとロシウって唯一マトモなカップルなんですよね(笑)。
── 『グレンラガン』の中で、普通に成立しているカップルというと。
今石 ええ。ちゃんとノーマルに恋愛してるのはこの2人だけ。まあ、アニメ的なノーマル感というかね。その辺は僕と中島さんからは出てこない(笑)。


── 作画的にはいかがでしたか。
今石 23話は、小島(大和)君の初作監回か。
大塚 Bパートだよね。Aパートはまた平田(雄三)さん。何本やってるんだろう。
真鍋(広報) 作監数はシリーズ中でいちばん多いです。
今石 そうだろうなあ。常に救世主でしたね、平田さんは。
大塚 しかも途中からの参加で。
今石 最初は、10話のメカ作監かな。
大塚 10話から入ってるのに、いちばん数が多いという(笑)。
今石 それだけ仕事が早い。凄いです。23話は平田さんが巧く押さえてくれて、小島君がひたすらこだわる、という感じでしたね。
大塚 かなり粘ってたよね。
今石 粘ってましたねえ。
── 平松(禎史)さんの活躍ぶりはいかがでしたか。
今石 これもまあ、当て書きみたいなものですね。以前にカミナがそうしたように、シモンがロシウを殴るシーンが出てきて、シナリオ上でも韻を踏んでいるのだから、作画でも韻を踏むべきである、と。それで8話でも殴りを描いてくれた平松さんにお願いしました。相変わらず思った以上の仕上がりで、「ロシウ、首折れてるな」ぐらいの吹っ飛び方をしてましたね(笑)。なんかね、光ってるんですよ。
── 光ってる?
今石 殴る時に一瞬、T光がピカッと入るんですよ。何が光ったんだ? っていう。
一同 (笑)
今石 原画を見た時は、ちょっと不安になりましたけどね。結構シリアスなシーンなのに、このロシウのくずし顔は大丈夫なのかと(笑)。大人ロシウをこんなに崩していいのかな、と思ったけど、案外動きも速いし、画面も暗いし、わりと大丈夫でした。
── ここのパンチは、いちばん熱血度が高いかもしれませんね。ドラマ的にも正統派の熱血という感じで。
今石 そうですね。相当ドラマ的な意味合いの絡んだ殴りですから。
大塚 殴られた後のロシウがまた色っぽいんだよね。髪がパラッとほどけて。
今石 うん。あまりヨーコとかではできなかったのに、男キャラでやっちゃった(笑)。
── そのあとの、キノンが駆け寄ってくるところもよかったですよね。つまづきながら駆け寄る、みたいな。
今石 あれは作監の小島君がいつまでもいじくってたなあ……。
真鍋 DVDのオーディオコメンタリーでは、「あそこは巧くいかなかった」と悔いてましたね。
今石 DVDリテイクでも何かやってなかったっけ。動画を直してたのかな。
大塚 まあ、どれだけやっても納得はしないんだろうけど、多分。
今石 第4部は、DVDリテイクの比率がかなり多いと思うんですよ。原画は終わってるんだけど、動仕(動画仕上げ)が直しきれなかった、みたいなところが多くて。
── 動きのタイミングとかですか?
今石 いや、動画のトレスが粗くなってるんです。
大塚 確かに、再動画しただけでも、だいぶ印象が変わってるカットもあるもんね。
今石 ええ。23話はかなりギリギリまで作監を引っ張ってたから、動画では直しを入れきれなかった部分も多いんじゃないかな。
── なるほど。
今石 あと、爆乳リテイクしたのはこの回だったよな(笑)。ヨーコがコスモルックで登場する縦PANのカットがあるんですけど、あれは平田さんが描いてたのかな。そしたらもうミサイルみたいに尖った、しかも若干垂れてるみたいな乳が描いてあって。「これはさすがにどうなんだ?」という話になって、ちょっと戻してもらいました。
── 放映版でも凄いインパクトですけど、あれは直してるんですね。
今石 ええ。元はもっと凄かったです。ただダランと垂れてるわけじゃなくて、尖ってるんだけど大きすぎて、その重みでやや垂れている……みたいな。リアルを超えた、かなりマニアックな巨乳で(笑)。


── ヨーコのコスチュームは、かなりGAINAXらしい感じでしたね。
今石 うん、あれはやっぱり、こだわりの逸品ですかねえ。
── 監督の描いたラフなどはあるんですか?
今石 どうだったかな? 合宿でみんなで描き合いながら作っていたので、どっちのアイディアかは分からないんですけど。最初、錦織の方はもうちょっとマトモなデザインを描いていて、(『新世紀エヴァンゲリオン』の)ミサトさんみたいなジャケットを羽織ってたりしていた。でも、最後にマントをつけてきたのは錦織じゃないかな。これじゃ『ガッチャマン』じゃんか、正気か、と思いましたけど(笑)。そう思いながらも「OK!」みたいな。
── シモンのコスチュームも凄かったですね。「ストリート・オブ・ファイヤー」のウィレム・デフォーを思い出すような……。
今石 あれは魚屋じゃないですか(笑)。まあ、ちょっとヘンタイっぽいというかね。腹のところを黒のコルセットでぴっちり締めつけてたり。
── あの服は、劇中では誰が作ってる設定なんですか?
今石 誰だろう、リーロンかな?
── じゃあ、しょうがないですね(笑)。でもヨーコはあんまり気にせず着そうですよね。
今石 うん。ヨーコはむしろ、自分で服をちぎって露出を増やしていく感じだと思う(笑)。「この方が動きやすいじゃない」みたいな理屈で。それでもだいぶ、TV用にセーブしましたよ。最初は胸にも星しか貼ってなかったりとか、太腿も肌色だったりしたんだけど、さすがにお叱りをいただきまして(笑)。
── ああ、やっぱりクレームが入るんですね。でも第1部、第2部では水着みたいな服でしたけど、あれはいいんですか?
今石 うん、あれは「水着なんです! それが普段着なんです!」と言い張って。下をホットパンツにしてあったのがよかったのかもしれない。普通のビキニパンツだったら怒られてたかも。まあ、胸に星だけってのは、さすがにナイですけどね(笑)。その辺はTVでも放映できる感じに戻しました。


── ヴィラルが正式にグレン団入りするのも、この回からですよね。
今石 まあ、21話のラストでもう仲間に入ってるんですけど、23話でちゃんと打ち解けるというか。
── もう少し、内部での軋轢みたいなドラマを入れるプランはなかったんですか?
今石 ああ、(『伝説巨神イデオン』の)ギジェ的な?……それやると長くなるんですよねえ。
一同 (笑)
今石 ここはもうポンポン進みたかったんです。やるとしたら(グレンラガンに乗ったシモンとヴィラルが)名乗りを上げる前にやらなきゃいけないんですよね。そのあとに軋轢を描いたってしょうがない(苦笑)。
大塚 あまりそういう話は出なかったね。
── みんな体育会系だから、細かい事にこだわらない?
今石 うん、連中バカですから。
── そういえば、この回ではかなりグレン団のバカっぽさが強調されてましたね。
今石 ああ、ロージェノムとの対比とかでね。いくら7年経って進化したからって、急に利口になるのもおかしいだろうと。大体、僕もロージェノムの話は理解できないし(笑)。
── 「要は気合いって事だ!」「なるほど〜」みたいな。
今石 そうそう。グレン団をああいう風に描写しておくと、僕も安心して作れる(笑)。ロージェノムの話が分からなくてボヤーンとしてるグレン団の顔も、作監の小島君が相当遊んでましたね。マッケンの髭がだんだん濃くなって、カールおじさんみたいになっていくとか(笑)。

●第24話へつづく!!


●『天元突破グレンラガン』公式サイト
http://www.gurren-lagann.net/

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(08.03.07)

 
 
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