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映画『クレヨンしんちゃん』1〜10作
 TVで大人気のキャラクターアニメ『クレヨンしんちゃん』の映画版。おなじみ野原しんのすけ、みさえ、ひろし、ひまわり(第5作から)、そしてシロを加えた野原一家のハチャメチャな冒険を、アクションとギャグたっぷりに描く。子供達からの安定した支持と、近年では高年齢層へのアピールも強く、第1作『アクション仮面VSハイグレ魔王』(1993)から数えて11本の長編作品+短編1本が作られた。
 本郷みつるが監督を務めた初期4本(1993〜1996年)は、ファンタジー色を強く打ち出し、破天荒でありながらリリカルな情感を湛えた傑作揃い。劇場長編としてウェルメイドな完成度を達成した1作目に続き、第2作『ブリブリ王国の秘宝』(1994)ではスケール豊かなストーリーと凝ったアクションで、シリーズの方向性を決定づけた。第3作『雲黒斎の野望』(1995)は、演出の原恵一の時代劇へのこだわりと、ファンタジー性がバランスよく溶け合った快作。湯浅政明デザインによる奔放なイメージの数々も圧巻である。続く『ヘンダーランドの大冒険』(1996)でもメイン舞台設定に湯浅テイストが活かされ、また本郷監督のファンタジー志向がストレートに表れた作品となった。
 そして、原恵一監督による6本(1997〜2002)は、荒唐無稽さは継承しつつ世俗的で所帯じみた世界観から、やがて家族の絆という普遍のテーマを導き出し、世代を超えて多くのファンを獲得した。特に、第9作『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001)は、21世紀最初の年に過去への郷愁を真正面から謳い、二十代以上(特に万博世代)の胸に深く迫った。本作をきっかけに映画『クレしん』は観客の年齢層を大きく上昇させる事になる。原監督が再び時代劇へのこだわりを注ぎ込んだ渾身の第10作『嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』(2002)は、普段アニメを無視しがちな批評家からも評価され、第57回毎日映画コンクール・アニメーション映画賞、第6回文化庁メディア芸術祭・アニメーション部門大賞を獲得した。
 さらに、10年という節目を越え、『クレしん』は水島努に監督交代して11作目に突入。異様なキャラ描写を散りばめつつスラップスティックな笑いを畳みかける『嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード』(2003)は、原監督の1作目『暗黒タマタマ大追跡』(1997)を想起させるやんちゃな作品となった。
 ただでさえアベレージの高いTV版をさらに上回る作画のクオリティは、映画版の見所のひとつ。シンプルな描線の上に表現される、縦横無尽のアニメートが快い。『雲黒斎』の殺陣、『ヘンダー』の追っかけ、『暗黒タマタマ』の夫婦デュエット、『嵐を呼ぶジャングル』の空中戦、『戦国大合戦』の金的アタック、『ヤキニクロード』の自転車チェイスなど、枚挙に暇がない。
 ヴィジュアルのみならず、声優陣の好演や、音楽の素晴らしさなど、映画『クレしん』において語るべき点は山ほどある。ともかくまずは全て観てほしいが、本郷監督なら『雲黒斎の野望』、原監督なら『アッパレ! 戦国大合戦』がおすすめ。


映画『クレヨンしんちゃん』データ 1993〜2002

第1作 『クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王』(1993)

第2作 『クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝』(1994)
第3作 『映画 クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望』(1995)
第4作 『映画 クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険』(1996)
第5作 『クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡』(1997)
第6作 『映画 クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦』(1998)
第7作 『クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦』(1999)
併映短編 『クレしんパラダイス! メイド・イン・埼玉』(1999)
第8作 『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル』(2000)
第9作 『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001)
第10作 『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』(2002)

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