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コラム
リスト制作委員会通信 リスト制作委員会

 第1回「いきなり遅刻!? 第9回国際アニメフェス ―前編― 」

 皆さん、はじめまして。リスト制作委員会のみっちゃんこと道原しょう子と申します。
 このたび小黒さんのお誘いにより、毎月わが委員会で起きるちょっとした事を、ご紹介させていただくことになりました。
 実は最初の打ち合わせでは、もう2ヶ月早く始まる予定でした。初めにお話をいただいた時、道原がうまく話のコツがつかめずオロオロしていたところ、小黒さんに、日記形式でもいいよ、と言っていただいたので、日付を追う形で話題をご報告していこうと思います。小黒さん、ご迷惑おかけしてごめんなさい。

 リスト制作委員会というのは、アニメーション研究家データ原口こと原口正宏が、学生時代に基盤を築いたグループです。
 長い歴史を通じて、アニメーション作品に携わってきたスタッフ・キャストの人名を調べ、記録を続けています。
 レギュラーのお仕事は徳間書店月刊アニメージュの「パーフェクトデータ」「年間パーフェクトデータ」のページなど。あ、「アニメーションワールド」のデータ・バンクや、「全国縦断放映リスト」なんかもウチの仕事です。
 データの基礎となるのは、作品のオープニングやエンディングのクレジット。でも、もちろん文字と文字の間にはドラマが潜んでいるものだから、随時関係者の皆様への取材も精力的に行っています。知られざるアニメの裏面史の発掘はデータ原口の生きがい。その時々で、たくさんの人々に出逢い、お世話になっています。
 このコーナーは、そんな日々の記録です。

 さてさて、第1回は、2002年8月、第9回広島国際アニメーションフェスティバル直前からのスタートです。
 この月、リスト制作委員会は、日本コロムビアの虫プロDVDのお仕事のほか、講談社の竜の子プロ関係のムック、角川書店の「ボイスニュータイプ」にて復活の「ボイスパーフェクトデータ」(以下、ボイスパーデ)の嵐に大わらわ。
 原口家には、評論家志望のバイトの磯部くんが泊まり込んで、毎日いろんな仕事をしてくれていました。
 そんななか、原口夫妻(データ原口とみっちゃんのコトだよ)が、1年おきの広島行きを楽しみにしている、広島国際アニメーションフェスティバルの開始日が刻一刻と迫ります。
 いつもなら、開始前夜の夜行とか、初日当日朝の新幹線とかに乗って行くのですが……。
 今回は、原口が日本のOVAの歩みについて2回にわたり講演をするというので、事前の準備などが入ってきて、時間的ピンチに拍車をかけました。

8/18(日)
 外は台風。原口宅の両親の居間を借り(!)、広島講演のための紹介画面素材つくり。磯部くんが上映候補のOVAを観まくって、映像紹介に使いたいシーンを大ざっぱにチェック。午後、フリーの映像エディター・糟谷氏が到着。いよいよ、本格的な映像素材編集です。
 同時に、政尾氏は2階の事務所にてボイスパーデ用のデータの入力。夕食はみんなで中華の出前とる。政尾さんは普通の日は会社のお勤めがあるかたなので、夜ご帰宅。いつもすみません。  編集のほうは、原口を含めた3人で明け方に完成。糟谷さんは、ようやく小降りになってきた雨のなかを、車で帰っていきました。

8/19(月)
 ウィークデーになったので、みっちゃんはボイスパーデのため、声優事務所や制作会社に、声優さんの所属や名前の読み方などの問い合わせ。ほぼ終日、電話かけまくりの時期。
 原口、竜の子本とボイスパーデの入力に不眠不休。磯部くん、入力のためのワークテープなど作成。
 みっちゃんはこの間、広島のホテルに一足先に大きな荷物を送る準備とか、手荷物作りとかもします。

8/21(水)
 アニメフェス前日。
 やっと仕事にひと区切り……つかない。

8/22(木)
 結局、ボイスパーデの入稿とか(←まだ、してない!)直しとかで、出発は夕方に。
 原口、講演用の資料だとかで、出がけにいきなり本だのムックだのビデオだのをどっさり持ってくる。うああ、せっかく手荷物へらしたのにー!
 ボイスの仕事は広島で仕上げるというので、みっちゃんもFAXや郵送で届いた紙資料をたんまり持って出ることに。その上、自分たちのノートパソコン1台と、講演で実際に使うという借り物のMacのパソコン1台をかついでお出かけ。
 磯部くんも身の回りの荷物を片づけてご帰宅。新幹線の関係で、原口とみっちゃんが先に家を出発。
 18時09分新横浜発の新幹線で遅い(ものすごく遅いっっ)昼食をとり、念のためノートパソコンを起動してみる。
 借り物Macは異常なし。
 でも……。
 何とわが家の愛機「りっくん(※リスト制作委員会のマスコットキャラクターの、龍の赤ちゃんの名前。初めて買ったノートパソコンにこの名をつけたのだ)」が、本体のバッテリー切れで動かない!
 購入して4年目、よりによってこんな時に。でもまあ、新幹線でじたばたしても仕方ないので諦めて、ひと眠り。
 広島へは21時47分に到着。大きい荷物だけホテルに置いて、すぐに会場のアステールプラザへ。
 担当の、ASIFA(国際アニメーションフィルム協会)の西本企良さんのお出迎えを受け、原口は即、講演舞台の中ホールへ。何せ、明日の午後にはもう第1回の講演。リハーサルだ。
 中ホールは、アステールプラザのガラスばりの玄関を入り、ホールの正面から2階に伸びる広い階段を登り切った、大きなフロアの右手にある。中の広さは、中学校の体育館くらい。とはいえ、暗い観客席に皎々と浮き上がる舞台、忙しく行き来する真剣な面もちのスタッフの方々、観客席最後部にどっしりとかまえる機材のシルエットには、独特の緊張感がただよい、壇上で打ち合わせる原口の姿も何か遠い人のように思える。
 みっちゃんは、観客席で、「りっくん」がプラグを差し込めば普通に起動するのを確認。同時に、東京のアニメージュ編集部に電話して、簡単な取材の方針などの確認。
 その後、スタッフルームで、担当の杉山潔さんと、上映作品の正式タイトルや講義の紹介文をチェック。
 終わったのはまたまた夜中。原口とみっちゃんは、夜食にお好み焼きを食べてようやくチェックイン。

8/23(金)
 講義は、15時30分より。原口は、13時に紹介用の完成映像ができると西本さんに言われ、それから7階の作業スペースにつめっきり。
 ところが、打ち合わせのツメで動けない原口が、腕時計を忘れた――家に――という。どうやら原口、普段東映アニメーション研究所などの講義のときにしているように、腕時計をつけていないと落ち着かないらしい。だったら忘れるなよう。
 近所を駆け回るも、最寄りのコンビニにも雑貨屋にも、カメラ屋にも腕時計は売っていない。時間はどんどん過ぎていく。汗だくで困り果てるみっちゃん。
 そこに、2年振りの再会になる英語通訳の浅井静代さんが登場!
 助かった……。
 浅井さんには、前回のフェスでお世話になった。クロージングパーティーで、受賞者の方にコメントをいただく時、浅井さんの柔軟で力強いアプローチのおかげでたくさんの良いお話をうかがうことができたのだ。このアニメフェスでは、「フレーム・イン」という、アーティストとファンの交流のコーナーで通訳をされていた。
 親切、優秀。おまけに地元にくわしい。
 ありがたいことに、「フレーム・イン」の会場は7階だった。
 今回も同じコーナーでお仕事をされていた浅井さんは、作業スペースで必死にラストスパートをかけている原口に気付いてくれたのである。
 浅井さんの案内で、労せず立派な時計屋に飛び込んだみっちゃんは、1980円の美しい腕時計を原口に届けることができたのであった。
 時に、本番30分前。いよいよ原口たちは楽屋へ向かった。
 みっちゃんは、客席の奥からの観戦。お客はまあまあの入り。
 今日の講義は、「OVAの誕生と発展(1983-1987)」。
 OVA前史と黎明期、第1次隆盛期とその衰退、第2次隆盛期の兆しまで。
 部分上映、及び全編上映された作品は次のとおり。

●部分上映
 ・DALLOS
 ・天使のたまご
 ・ラビリンス*ラビリントス(『Manie−Manie 迷宮物語』より)
 ・MEGA TOKYO 2032 THE STORY OF KNIGHT SABERS BUBBLE GUM CRISIS
 ・BLACK MAGIC M-66
 ・PATLABOR MOBILE POLICE
 ・銀河英雄伝説
 ・トップをねらえ! Gun Buster

●全編上映
 ・プレゼンス(『ロボットカーニバル』より)
 ・破邪大星 彈劾凰

 通訳を介しての講義は初めての原口。誤訳を避けるため、平易な言葉で正確な表現をすることに徹し、いつものしゃべりとばしの名調子には至らなかったものの、良い経験になったもよう。
 とりあえず最初の関門を突破して、その夜はフェスのプレス係の人に教えてもらったお好み焼き屋「みっちゃん」(!)に入り、地酒「さわやか」で乾杯。さらにおそばを食べ、紫イモとバニラのミックスソフトクリームを食べて、ホテルに帰ったのでした。
 つづく!
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