「ドラえもんサウンドトラックヒストリー★菊池俊輔音楽集」が日本コロムビアより、さる３月に発売された。実は、現在のＴＶ版『ドラえもん』の劇中音楽がまとまって発売されたのは、これが初めての事である。放映以来20年余り、今や本作の音楽はベテラン作曲家・菊池俊輔の代表作となっている。それだけに今回のＣＤ化は、ファンにとって積年の夢であったと言っていいだろう。
　ＴＶ版『ドラえもん』で使用されている音楽は、放映開始時に収録されたもの、13年ほど前（劇場『パラレル西遊記』前後の時期）に行われたもの、そして劇場長編からの流用曲の３種類である。この中から主要曲を網羅する構成となっている。
　１枚目は、ＴＶ版の主だった音楽の大半を収録。また、『帰ってきたドラえもん』『のび太の結婚前夜』等、最近の劇場中編の中からも主要テーマを拾っている。２枚目は、劇場用長編の音源から、主要テーマと、ＴＶへの流用頻度の高い曲を中心に組曲として構成。音源の見つからなかった『のび太の恐竜』『ぼく桃太郎のなんなのさ』を除き、現状で菊池氏の手になる最後の劇場長編である『ねじまき都市冒険記』まで、氏の作曲したすべての劇場長編の音楽を網羅した。結果、『ドラえもん』菊池サウンド全集とも言えるこのＣＤで、耳に馴染みのある『ドラえもん』劇中音楽のほとんどが聞けるようになっている。構成担当はアニメ、特撮のサウンドトラックファンにはお馴染みの早川優。
　勿論、膨大な量に上る『ドラえもん』の音楽だけあって、収録時間の都合など、様々な理由から落とされてしまった音楽もある。特に、ジャイアンのテーマと言うべき、挿入歌「おれはジャイアンさまだ！」のテーマアレンジが未収録なのは残念なところ。これは、初期劇場作品と第２回録音分の音楽テープの一部が見つからなかったためだという。
　ともあれ、現在放映中の長寿アニメである『サザエさん』『ドラえもん』『それいけ！　アンパンマン』はどれもサントラが未発売であっただけに、その一角が遂に崩れたとなれば、それだけでも十分事件である。これ以上を望むのは贅沢というものだろう。藤子ファン、菊池俊輔ファン、サントラファンは勿論の事、アニメファンとして、まずは素直に発売を喜びたい。

●『ドラえもんサウンドトラックヒストリー★菊池俊輔音楽集』商品データ
※ＣＤ２枚組／好評発売中／定価￥4935（税抜価格￥4700）／COCX-31244→45／発売元：日本コロムビア

●関連サイト日本コロムビアのホームページ
http://www.denon.co.jp/