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新春放談 大地丙太郎×小黒祐一郎
 その3 萌えと舞台と2005年の抱負

小黒 大地さん、「萌え」はどうなんですか、「萌え」。
大地 「萌え」はね、駄目だって事が分かりました。
小黒 駄目なんだ(笑)。
大地 実は、俺も「萌え」に挑戦しようと思って企画をやってみたんですよ。それで企画を作ってみたんだけど、自分でも全然面白くなんないのね。一応、(メーカーの人に)見せたんだけど、「うーん」と言われて。それで俺も「同じ思いです」って(笑)。で、俺の辞書から「萌え」は消えました。
小黒 『十兵衛ちゃん』とかは「萌え」じゃないんですね。
大地 そのつもりで作ってないからね。この前、ジャンプフェスタに行って、美形系はいいなと思った。
小黒 『テニスの王子様』?
大地 テニプリも勿論、カッコいいんだけど。なんて言うの、戦いみたいのが話のベースにあって、そこに色んな戦士達が揃ってるような作品があるじゃない。今まで、そういうのは苦手だったんだけど、それに対して女の子たちがキャーキャー言っているじゃない。そのキャーキャー言っている雰囲気は楽しくていいんだよね。テニプリミュージカルに行った時も、同じように思ったんだけど。
小黒 テニプリミュージカルに行ったんですか。
大地 娘達が好きなんで、付き添いで行ったんだけどね、いいよね、雰囲気が。で、次はこれをやりたいなって。
小黒 美形キャラ物ですか。ジャンプフェスタでは何を観たんですか。
大地 タイトルはわかんないけど、刀とか持ってる男がいてさ、カッコよかったりするんだよ。
小黒 あ、『BLEACH』だ。
大地 知らないけど多分それ。それがいいなあと思って。テニプリミュージカルも片岡さんがやっているんだよね。ああいうマルチメディア展開も、ちょっといいなあと思い始めて。それはまた「萌え作品」の企画みたいに消えてしまうかも知れないんだけど。実はさ、制作進行やってた頃から、考えた企画があるんだよね。それをそろそろ発動させようかなと。
小黒 それはカッコいい男の子が出てくるんですか。
大地 主人公はやっぱり女なんだけど……女じゃダメなの? 周りは男だけど……。それをちょっとアレンジしてみるとか。
小黒 主人公が女の子だと、美形キャラ物としては純度が低いかもしれないですよ。だけど、制作進行の頃から、カッコいい女の子物を考えていたんですね。
大地 女の子物じゃなくてね、たまたま主人公が女だったって感じなんだけど。『十兵衛ちゃん』の別バージョンみたいなもんなんだよ。もっと男っぽい雰囲気の女の子が主人公なんだけど、それを制作進行の頃から20年温めてる(笑)。当時、アニメーターの松尾慎さんにキャラクターのデザインをお願いして、メチャメチャカッコいいのを描いてもらったんだけどね。もっと柔らかい物にしたらどうかとか、色々考えながらもその企画はずうっと眠ってる。『十兵衛ちゃん』を始める前に、それと『十兵衛ちゃん』と『風まかせ月影蘭』の企画を持って行って、『十兵衛ちゃん』と『月影蘭』がピックアップされたんだ。それだけ残っているんで、もう1回考え直したいなあって気持ちがあって。
小黒 それをやったら、ギャル達が大喜び?
大地 になるのかな。やっぱ男の子にしなくちゃダメ? 主人公……。だったらダメかも……。しゅーん。キャーキャー言われたいんだけどなあ。
小黒 でも、作品に人気が出ても、大抵の場合、作った人はキャーキャー言われないですよ。
大地 作った人はね。オレがキャーキャー言われなくて良いんだよ、あくまでもオイラは裏方さ、でも、やっぱね、できた作品がキャーキャー言われるのは気持ちのいいもんだよ。誰かが楽しんでいる光景ってのは、見てても気持ちがいい。あ、勿論、ついでにキャーキャー言われてもいいよ、オレ。
小黒 (笑)。それと別に2005年も、新作はいくつかあるわけですよね。
大地 2005年はあまりない。
小黒 準備期の年ですか。
大地 うん、取り敢えず1本だけ。『ギャグマンガ日和』って作品がある。これは5分物なんで、他の仕事と同時進行で何とかやってるんだけど。新作というと、それと『おじゃる』の新シリーズくらいしかないかな。あとは準備期間だよ。来年やりたい事は一杯あって。
小黒 発表は2006年。
大地 うん。今、準備し始めると、どうしても2006年になっちゃうよね。ま、まず舞台ですね。
小黒 舞台って、どのくらいの期間、公演するんですか。
大地 多分、5日か6日ですよ。そういう意味で、舞台って凄く効率が悪い。
小黒 準備期間が長くて、かけるエネルギーも多いのに。
大地 今から夏の準備をしているのに、あっという間に終わっちゃって、見逃がした人はもう2度と見られない。
小黒 だから、リッチなんだと言えば、リッチですよね。
大地 まあね、経験してみないと、本当はどうなのかなんて分かんないけどね。でも、肉体を使うっていうのは、やっぱりいいかなと思っちゃうんだよね。本当は再来年に実写をやりたいとか思っているけど、まだ早いのかなあ。もしかしたら1回舞台をやったら、もう1回やりたくなるかもしれないし。
小黒 そういえば、さっきから舞台、舞台と言ってますけど、題材はなんなんでしたっけ。
大地 題材はまだ言えないんだけどねえ、チャンバラです。
小黒 チャンバラですよね。
大地 チャンバラ・ギャグです(笑)。コメディかな。
小黒 チャンバラでギャグっていうと、ほとんどノリは予想ができますね。
大地 「てなもんや三度笠」ですね。
小黒 ああ、やっぱりそういう感じの。
大地 「てなもんや三度笠」+コマ劇場+ロック! どんなんじゃ! しかもロック、良く知らんわ! ベースのシナリオはあるんだけど、それを舞台用にアレンジしようかと思ってるんで、まだどうなるかわからない。どうアレンジするかそれ考えるのは楽しいなあ。それから、なぜかギターをやろうと思っている(笑)。
小黒 (TAHITI STUDIOに置かれたギターを見て)このギター、年季が入ってますよね。
大地 これ、中学校の頃に友達がくれたやつなんだ。当時、そいつに少し教えてもらったんだけど、25年以上経った今、もう1回そいつにギターを教えてもらおうかなと思って、ここ(TAHITI STUDIO)に持ってきたのね。音を出しても家族の邪魔にならない場所ができたんで、2005年はそれもやっていこうかなと。
小黒 なるほど。頭が下がるなあ。
大地 やっぱりさあ、人間、1年間にやれる事ってそんなにないから、段々先送りになるけども、歳を取ってきてやっとできる事もきっとありますよね。
小黒 ありますね。それは間違いない。
大地 昔は恥ずかしいからできなかった事も、今さら恥ずかしがってもしょうがない。やっちゃおうと思えば、ギターもできるし。あとね、英会話をやりたい(笑)。この前、シンガーポールに行ったんだけど、一緒に行った人達は、皆、できるんだよね。俺だけできないのがちょっと悔しいなあと思って。それから、ショートフィルムを自分1人で作る。2分くらいのものをね。それは久里洋二さんに刺激されてやろうと思ったの。2年前だったかな、『ダンゴゴン太』のショートフィルムを作った時に、とても気持ちよくて面白かったのね。仕事でやるのと別に、全部自分でやる作品をやっていきたいなというのも、ひとつの目標です。それに、最後のやりたい事が。これがちょっと重いんだけど、CGを勉強したいのね。CGだけはどうとっかかればいいのか、全然分かんなくて。誰か教えてくれる人を募集中。それが2005年の目標。

●新春放談 大地丙太郎×小黒祐一郎 その4へ続く

(05.02.04)
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