WEBアニメスタイルについて サイトマップ トップへ戻る
  更新情報とミニニュース
 
 
  「穏やかな世界」の理由

  はい。みなさん、こんにちは。今度の3日(日)に、いよいよ「納涼! 第2回いろんなアニメを観ちゃおう大会」を開催します。今回のイベントでは、橋本カツヨの『アタゴオル物語』のパイロットフィルムや小池健の最新短編の上映も決定。『音響生命体ノイズマン』『なんちゃってバンパイヤン』もやります。詳しくはイベントのコーナーを。 今回の更新は他には「animator interview 中村豊(2)」と「DATA BASE 『カウボーイ ビバップ』」。「animator interview」も、いよいよ『ビバップ』の話題に突入する。

 で、以下が本題。

 ここ数年、穏やかなアニメが増えた。最近の、特にヘビーユーザー(マニアック層)向けの作品には「穏やかな世界」を描いたものが多い。もっと詳しく言うと「少女のいる穏やかな世界」である。あまり事件らしい事件は起きず、人間関係も安定。キャラ同士は好意を持っているが、恋愛はしない。舞台は概ね普通の日常で、本編の大半が生活描写。そんな作品だ。
 特に美少女ものでその傾向が顕著だ。現在放映中のもので言うと『D.C. 〜ダ・カーポ〜』『HAPPY☆LESSON ADVANCE』『おねがい*ツインズ』等々。『デ☆ジ☆キャラットにょ』はギャグものだけど、やっぱり「穏やかな世界」を描いている。『ぽぽたん』なんて、キャラデザインから判断して、もっと弾けたものかと思って1話を観たら、目いっぱい「穏やかな世界」だった。
 僕はそれを「穏やかな世界もの」と呼んでいる。この論旨の中では、世間で言うところの「萌えアニメ」という言葉だと微妙に違うのだ。ここ数年で言えば『コ・コ・ロ・図・書・館』が「穏やかな世界もの」の最高峰だろう。次いで『フィギュア17 つばさ&ヒカル』。ヘビーユーザー向けと言うと、ファンが怒るかもしれないが『Cosmic Baton Girl コメットさん☆』も、明らかに「穏やかな世界もの」だ。
 こういったタイプの作品が増えたのは、ここ数年の傾向だ。10年前、20年前は、マニア向けの作品や美少女ものでも、もっとドラマチックであり、内容が賑やかだった。ようするにもっと脂っこかった。20年前の『うる星』『マクロス』の頃には、アニメファンが好きなのは「メカと美少女」と言われていたけれど、もはや「メカ」はなくなり「美少女」だけが残った。10年位前に、アニメファンに受けるのは「燃えて、泣ける作品」だと人と話をしたのを覚えているけれど、今ではそんな作品も激減している。
 まあ、そういった現在の状況を批判しても仕方がない。いや、僕だって80年代に『クリィミーマミ』の望月智充演出や、『マジカルエミ』の日常描写中心のエピソードを面白いと思っていた。アニメで日常的な描写をやり、その中でキャラクターの魅力を浮き彫りにする。それは新鮮だった。また、そういった日常生活もののルーツが『アルプスの少女ハイジ』に始まる世界名作劇場である事は言うまでもない。
 ただ、なぜ「穏やかな世界」を描く作品が増えたのかは気になる。それには様々な理由が複雑に絡み合っているはずだ。作品を映画っぽくしたいという作り手のスタンスのせいでもあるだろう。マニアックな作品から確実に受ける部分のみを抽出したら「少女」だけが残ったという事かもしれない。そういった作品に観る側が癒しを求めている、という事もあるのだろう。
 だけど、まてよ。もっと大きな理由があったのだ。「穏やかな世界」を描くアニメが増えた理由が。それに先日、気がついた。
 つまり、ヘビーユーザーの年齢が上がったのだ。
 今やアニメの映像ソフトを買う人達の中心は、20代中盤から30歳以上。「ファーストガンダム」の本放送時に高校生だった人は、もう40歳を過ぎている。大人になってもアニメが好きだけど、さすがにミサイルどか〜んや、暑苦しいドラマを観るのはシンドい。会社の仕事で疲れているから、アニメに過度な刺激はいらない。まあ、そんな事情で「穏やかな世界」を好むファンが増えているのではないか。70年代末からのアニメブームで「TVまんが」と呼ばれていたものが、若者のための娯楽である「アニメ」になった。若者の娯楽「アニメ」は、若者のためものであるだけに猥雑であり、活気があった。それが今や若者のためのものでもなくなりつつあるわけだ。
 それを先日、知人の業界の人に言ったら、すっごい厭な顔をされた。そして、このままいくともっと活気のないアニメが増えていくのではないか。50代のアニメファン向けのさらに枯れたアニメが作られるようになるのも、そんなに先の事ではないのでは、といった話になった。
 「穏やかな世界もの」が増えた理由が、もしそうだったとして、中学生や高校生はどうなのか。ティーンの人達までが、刺激の少ない「穏やかな世界もの」を面白がって観ているのか。だとしたら、それは問題だ。いや、20代や30代で癒されたいと思うのが、いい事だとも思わないが。『ガンダムSEED』に中学生や高校生の人気が集まっているという話を聞くと、ちょっとホッとする。
(03.08.01)


更新情報(03/08/01・第90回)
animator interview
中村豊(2)

DATA BASE
『カウボーイ ビバップ』

第14回イベント上映内容 ようやく決定


<OLD | NEXT>

 

編集・著作:スタジオ雄  協力:スタジオジブリ  スタイル
Copyright(C) 2000 STUDIO YOU. All rights reserved.