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アニメの作画を語ろう
シナリオえーだば創作術――だれでもできる脚本家[首藤剛志]

第203回 番外編 ご注意ください

 世の中、色々なことが起きる。
 気をつけろとは年中聞いていたが、午前中に電話を使った「振り込み詐欺」に合い、そのやり方が従来と変わっていたらしく、パトカーで渋谷の警察署に連れて行かれて、ついさっきまで、5時間以上、犯人らしきグループの手口(少なくとも4、5人の気の合ったグループが必要)を調べられていて、このコラムを書く時間がなくなってしまった。申し訳ない。
 公共機関の名を語った詐欺で、僕自身うすうす気がつきながら、それでいながら瞬間的に、ある程度の額が預金から消えた。
 いわゆる詐欺が成立してから、僕が通報するまで10分かかっていない。
 その金額が、僕にとってはいささか微妙な額だ。僕は、犯罪ものや推理物を書かないが、物書きの性格上、「スマートな詐欺」の方法を考えたこともなんどもあり――もちろん実践はしないが――そのやり方の範疇ではあったのだ。仕掛けが面倒くさいし、準備やお金もかかり時間もかかるので、まさか実行されるとは思っていなかったのがうかつだった。
 その手口を詳しく書いて、まねをされると困るので書かない。
 詐欺をしかけた人達は、自分でも忘れているような僕の個人情報を知っており、金融機関(銀行)のセキュリティの甘さをかなり熟知し、「公共機関」の一般市民への対応の仕方も相当練習しているようだ。
 僕が獲られたのは、「詐欺の犯人グループ」の1人ひとりの苦労に値するか疑問なぐらいの額だ。
 もっとも、日本中で同じことを同時刻にやれば、チリも積もってかなりの額になるだろう。が、同時刻にやるには、それだけ人数が必要になる。「よくやるよ……」と、ちょっと負け惜しみぶくみだが、僕は悔しいより笑っちゃうしかない。
 今度仕掛けられたら、だましかえしてグループを捕まえる方法をすぐ考え付いたほど、手口自体は巧妙だが、詐欺としての基本は簡単だ。
 犯人グループからしたら、捕まるリスクもある犯行である。
 本当に「よくやるよ……」だ。
 と、同時に、今の時代の不景気も実感した。
 警察への被害の届けとその調べは、長くても1時間ぐらいと思っていたのですが、5時間以上もかかった。
 警察や銀行の処置は迅速だったが、それでも被害調査にそれだけの時間がかかる。
 おそらく、お金は戻ってこないだろう。
 この事件、僕の寝不足のいささがぼーっとしていたうかつさが主原因だが、インターネットでの買い物などによる個人情報漏洩――たとえば、昨年、僕が病院に払った医療費(本人も覚えていない)や僕の収入の動きも漏れているようなのだ――、銀行とクレジット会社の癒着ともいえるかもしれない関係、コンビニのATMが簡単に使えるなど金融機関のセキュリティの甘さも手伝っていると思う。……桁違いだけれど、アメリカのサブプライムローン問題やリーマンショックなど、目先の利益のために、セキュリティがおろそかになったため、といえないこともない。
 とはいえ、それを強く指摘し、セキュリティを強化すると、銀行預金の手続きが面倒で、銀行にお金を預ける人が少なくなり、今度は銀行がつぶれかねない。
 世の中、金回りが悪くなると、ますます不況になってしまう。
 警察の方から、1度起こった事は2度起きる可能性もあるので、家族、親せき、知人には、この「詐欺」が起こった事を伝え、注意を促してくださいといわれた。
 あくまで、僕の思いですが、ATMを使う時は、できるだけ少額にした方がいいと思う。
 ご存知かと思うが、ATMによる相手の口座への振り込みは、現金では10万円が限度だけれど、キャッシュカードからだと1日に100〜200万までとなっている。いまどき、わざわざ相手の口座にお金を振り込むのに現金をATMに入れる人がいるのだろうか。
 まあ、面倒で手数料もかかるが、それぞれにとって大きいと思われる金額は、銀行の窓口を利用した方がよさそうだ。
 キャッシュカードとクレジットカードが氾濫している現在、あらためてセキュリティの甘さ、個人情報を守ることの難しさを感じる。
 皆さんも、くれぐれもお気をつけて。
 では……次回、元の話題に戻ろう。

   つづく
 


■第204回へ続く

(09.11.25)

 
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