第186回
フワフワといろいろ……

 先月末から今月にかけて荒れまくっていたお仕事の嵐がほとんど過ぎ去って、残るは『パンスト(Panty&Stocking with Garterbelt)』のラッシュチェックのみ。なんか一気に体が軽くなって飛んでっちゃいそうなのを絵にしました。

精神的に身は軽くなったものの、現実的な体重は重くなったんですけどね……!

 ま、今度頑張ってダイエットします……。それより今回と次回はここ数回分——不甲斐ない原稿でお茶を濁してた間、いろいろ考えてはいたものの忙しくて書けなかった事をかいつまんで〜。


『戦国BASARA弐』の事

 『戦国BASARA弐』に関してはいろいろと書きかけで中断してたのでまとめて……! まず、第6話。こちらの話はすでに数回に分けて書いた気がするのですが、もう少し付け足し。とにかくこれはこの6話を振ってくれた中武(哲也)Pと野村(和也)監督にただただ感謝です!

 ——とか言って、長曾我部 VS 毛利(1期第13話)の1本のみ監督した俺を立ててくれた野村監督ですが、それは謙遜でしょう。なにせ彼の方が『戦国BASARA』に関しては自分より先輩で、1期では第11話という傑作を作ったんですから、長曾我部はともかく幸村・政宗他BASARAワールドは野村監督の方がずっと詳しいです。なのにご自身とはまったくタッチの違う板垣のコンテをほとんどそのまま通してくれたのには感動しました、ホント。また、作画面ではAパート(前半)の作監をやってくださったのは、自分とは『化物語』真宵OPでもご一緒した田中春香さんで、『化物語』OP同様、大変丁寧な仕事で今回も助けてもらっちゃいました。原画では『はなまる幼稚園』EDで全原画描いてくださった河野恵美さんが「秀吉、アッパーカットで地面盛り上げ富嶽を止める! 〜富嶽甲板に着地」までを。その続き「長曾我部と秀吉の睨み合い」は元テレコムの先輩で『BLACK CAT』では総作監の蘇武裕子さん。「富嶽の弾を素手で受け散らす秀吉〜Aパートラストまで」の今井有文さん(I.Gの若手ホープ)の作画も忘れられません。そして1期13話の時同様、千葉崇明さんにはBパート(後半)のアクションをいっぱい直していただき大感謝! あ、あと1期13話ではすべて背景描きだった富嶽が『弐』では3D(CG)作ってくださって衝撃でしたね。CG班にも感謝感謝です。
 ——そして第10話。これはとにかく予想以上にコンテで手こずってしまいました。何しろシナリオ的に情報量が多かった……。6話は“長曾我部 VS 秀吉”でハッキリしてたのですが、この10話はあっちこっちにドラマが振ってあって、物量的にかなーりゴージャスだったので描いても描いても終わらなかったんです(汗)。ただそれだけドラマ部分で悩んだ分、アクションのAパートよりドラマ部分のBパートの方が思い入れがあります。特に島津と幸村が海岸で別れの盃を交わすシーン。これ、視聴者の皆さんにはなんて事ない普通に見えるシーンですが、

 ——と去って行く幸村と残る島津のカゲが(あ)→(い)→(う)へとPANにあわせてパースを変えるのが意外に大変なんです。(ここからはやや専門知識がない方には分かりづらいかもでスミマセン……)つまりこれ普通に横にPANするだけだと、ラスト島津も夕陽もフレームアウトしてしまうんです。しかし、このカットの演出意図では“再び槍を握って戦場へ向かう幸村を背中で見送る島津”……って事で幸村がフレームアウトした後10数コマでも島津と夕陽が欲しいんです。だから画面手前と奥でPANの移動幅を変える計算が必要となって……

 まず、図(4)のように砂浜(地面)と2人のカゲをノン・パース(真俯瞰)で描いて、撮影でパース転回して図(5)のようにします。あとは画面手前と奥の移動幅を指定して図(1)→(2)→(3)へとパースを送るんです。何が難しい? って上記の内容を説明してちゃんとレイアウトして原画にして撮影指定を書いてタイムシート打てるアニメーターが現在ほとんどいません(辛口ですが事実です)。ま、それを補完するのが演出でもあるので指定とシートは自分が直しましたが、カゲや走りはこのパート(シーン)の作監・京極義昭さんに直していただけて幸せでした。その他の作監さんにも時間のない中、全力で頑張ってもらったと思います。ここへ来ると千葉さんも板垣コンテのアクションに慣れたんじゃないでしょうか? 何しろ大量のラフ原を描いていただいたし、修正もたくさん入れていただきました。飯島弘也さんは『BLACK CAT』第12話の半パート作監もやってくださっていたのを思い出します。やっぱり飯島さんの描く男はカッコよかったです。原画では6話に続いて大変なシーン(一同崖ジャンプ!〜着地して地雷の中を疾走する長曾我部と政宗)を描いた今井さんがまたもイイ仕事でした。特にコンテ切ってた時から拘ってた“馬の後ろ頭につけた疾走”カットは口で説明しただけなのに、板垣のイメージどおりに仕上がってて圧巻でした! おまけに10話は自分でも原画を描けた(山が割れて日輪発進! の8カット)のが楽しかったけど、最後の数日間はI.Gの会議室に籠って200カットの原画チェックと言ったら……

それはもう地獄のような楽しさ!!

——でしたね、マジ。

 そして最後は第12話(最終回)は野村監督のもと

1カットだけど原画で参加できて嬉しかったです!

 ラストの“監督 野村和也のテロップがのっかった政宗の背中〜まわり込んで馬ヒヒーン!”のカットでした。

(10.09.30)