アニメ様365日[小黒祐一郎]

第6回 劇場版『宇宙戦艦ヤマト』

 1977年夏に、劇場版『宇宙戦艦ヤマト』が公開。TVシリーズを再編集したものだが、若いファンが劇場に詰めかけてヒット作となった。ここから「アニメブーム」が始まり、そのブームで、アニメは若者の娯楽として認知される事になる。日本の商業アニメのあり方が変わったわけだ。『ヤマト』のヒットがなければ、現在の日本のアニメの隆盛はなかっただろう。
 僕は劇場版『宇宙戦艦ヤマト』を、ロードショー時には観ていない。すでに「マンガ少年」の特集記事を読んでいて、アニメに興味を持っていたのだが、中学1年の僕には、東京まで映画を観に行くという発想が浮かばなかったのだろう。公開前に劇場前にファンが徹夜で並び、マスコミで話題になったのだが、その記事を読んでも遠い世界の話のように思っていた。こう書くと、お前は電車に乗ってスタジオ見学とかに行っていたんじゃないのか(第4回参照)と突っ込まれそうだが、僕がスタジオ見学などに行くようになるのは少し後だ。むしろ、東映動画にスタジオ見学へ行ったのをきっかけにして、1人であちこち出歩くようになる。
 TVシリーズ『宇宙戦艦ヤマト』との一番大きな違いは、古代達がイスカンダルに着いた時、すでにスターシャが死んでいたという点である。劇場版『宇宙戦艦ヤマト』にはいくつか新作カットがあり、このイスカンダルのシーンも新作だ。翌1978年に、劇場版『宇宙戦艦ヤマト』はTV放映されるが、編集が変わり、スターシャが生きている展開に戻されている。放映を観て「あれ? 劇場版ってスターシャが死んでいるんじゃないの?」と思ったのを覚えている。後の劇場再公開でも、スターシャが生きているバージョンを上映。1979年のTVスペシャル『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』でスターシャが再登場するので、それに合わせたのだろう。スターシャが死んでいるバージョンは、しばらく幻になっていたが、近年の映像ソフトでは映像特典等のかたちで、劇場版のイスカンダルのシーンが収録されている。
 上記の劇場版TV放送とは別に、1978年にテレビ東京(当時・東京12チャンネル)で『宇宙戦艦ヤマト』のダイジェストを放送している。物語を1時間くらいにまとめたもので、このダイジェストではスターシャが死亡したシーンが流れた。それを観て「ああ、これが噂に聞いた劇場版か」と思った記憶がある。ただ、このダイジェスト版に関しては、同年輩の友達に話しても、それを誰も覚えていないので、僕の記憶違いかもしれない。何かの機会があったら確認したいと思っている。
 作品自体の話に戻すと、劇場版『宇宙戦艦ヤマト』は、かなり大胆に編集したものであり、決してTVシリーズの魅力を存分に伝えるものではなかった。『宇宙戦艦ヤマト』を未見の若いファンには、劇場版ではなく、TVシリーズを観る事をお勧めする。それでも、TV放送で劇場版を観た時は、大河ドラマである『宇宙戦艦ヤマト』を一気に反芻できた事に満足した。

第7回へつづく

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(08.11.11)