WEBアニメスタイルについて サイトマップ トップへ戻る
  更新情報とミニニュース
 
 
  アニメムック編集者の葛藤

「いろんな会社にオジャマしちゃおう!」の第2回は『灰羽連盟』や『しあわせ荘の オコジョさん』等を手がけたラディクスの巻。現役のアニメ監督であり同社の社長でもある根岸弘さんと、プロデューサーの植田基生さんに話をうかがいました。ゼロ・ジー・ルームとラディクスの関係も今回の記事で明らかになります。ニュースは男鹿和雄さんの描き下ろし絵本「ねずてん」について
 それから突然ですが、9月21日(日)に「アニメスタイル」イベントをやる事になりました。今回は『ボビーに首ったけ』や劇場版『はれときどきぶた』、あるいは『花田少年史』のOP等を手がけた平田敏夫さんの特集です。詳細は近々に。

 で、以下が今回のヒトコト。今回は出版業界寄りの話題だ。

 昨日、書店に行ったらまたしても別冊宝島のアニメ本が数冊出ていたので買ってきた。今回買ったのは「852 ルパン三世PERFECT BOOK TV版パート2 ストーリー解析編」「853 僕たちの好きなマジンガーZ」「854 僕たちの好きなあしたのジョー」「860 僕たちの好きな巨大ロボット」「862 シティーハンター最強読本」。多分、この5冊が8月に出た別冊宝島のアニメ本だ。いや、それにしてもよく出る。発刊ペースはひと頃のロマンアルバムすらも遙かに越えている。
 
 ここ数ヶ月、出版社やビデオメーカーの人と話していて何度か別冊宝島のアニメ本が話題になった。その論点は、もう何年もアニメのムックが売れないと言われているのに、なぜ、別冊宝島のアニメ本はあんなに次々と発売されてるのか、である。この別冊宝島シリーズは、アニメ雑誌やムックの編集者にとって、ちょっとした脅威なのだ。
 90年代半ばの謎本ブームの時とは事情が違う。あの時に発売された謎本は、その大半が版権元に出版の許可をとっていない出版物であったし、内容も書き手が自分の解釈を述べたりするものであって、それまで出ていたアニメ雑誌やアニメムックとは土俵が違っていた。
 だが、別冊宝島のアニメ本は同じ土俵に立っている。画質が良好とは限らないがアニメの画像も沢山掲載されている。価格が安い。ほとんどのものが定価が1000円以下だ。それが次々と出版される。しかも、企画は多彩だ。僕が知る限り、アニメ『巨人の星』全話の粗筋と画像が載った本は、別冊宝島のものが初めてだ。例えば、アニメムックを出してきた老舗出版社で、今、いきなり『巨人の星』や『ヤッターマン』の企画を出して通るかと言えば、十中八九、「NO」だろう。

 別冊宝島のアニメ本と、今までのアニメムックはどこが違うのか。大雑把に言えば「一般向き」か「マニアック」かの違いなのだろうと僕は思っている。
 別冊宝島のラインナップは、例外もあるが、基本的には一般雑誌(それも青年誌)のアニメ特集をボリュームアップさせたような内容だと思う。記事内容もそうだし、レイアウト、掲載する写真や資料へのアプローチの仕方もそうだ。一般向きであるという事は、メジャーだという事でもある。メジャーな本だから、多くの人が手にする。多くの人が手にするから、価格も安くできる。
 この事から分かるのは、僕らが「正統的なアニメムック」と思っていたものが、ムックを買い慣れない人にとってはマニアックなものだったという事だ。4色カラーに本編から選りすぐった写真が細々と載っているのはともかく、1色ページで大勢のスタッフへのインタビューが数ページ続き、各種資料を細々しく掲載するようなスタイルは、あまり一般的とは言えない。いやむしろ、かなり専門的な作りなのだろう。少なくとも現在では。
 読者の皆さんもご存知のとおり、最近、そういった「正統的なアニメムック」は数が減り、出てもかなりの高額なものになっている。2000円台は当たり前、3000円台も珍しくない。その価格設定がますます存在をマニアックなものにしていく。

 今後、一般向けのムックとマニアックなムックは、棲み分けがはっきりしていくのだろう。アニメムックの老舗である角川書店と講談社が、1冊あたりのページ数を減らし、500円前後という低価格で『ガンダムSEED』のムックを出版しているのは、興味深い事だ。これも時流に合わせた企画なのだろう。
 自分はよりマニアックなムックも作りたいし、そういったものが読みたいとも思う。それと同時に、一般向けとマニアックの両者のイイトコどりはできないのか、とも思っているのだけれど、これがなかなか難しい。
(03.09.02)

更新情報(03/09/02・第93回)
いろんな会社にオジャマしちゃおう!
第2回 ラディクス

男鹿和雄が描く、色彩豊かな紀州の幽谷
絵本「ねずてん」発売中!

第15回「アニメスタイル」イベント
突然決定! 平田敏夫特集



<OLD | NEXT>

 

編集・著作:スタジオ雄  協力:スタジオジブリ  スタイル
Copyright(C) 2000 STUDIO YOU. All rights reserved.