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EVENT

第34回
「語れ! 『トップをねらえ2!』!!」




日時■2007年1月21日(月) 18時半〜
会場■LOFT/PLUS ONE
出演■鶴巻和哉、榎戸洋司、佐藤裕紀、コヤマシゲト、小黒祐一郎

■上映作品
『トップをねらえ!&トップをねらえ2! 合体劇場版!!』

 今年初めてのアニメスタイルイベントは、『トップをねらえ!&トップをねらえ2! 合体劇場版!!』のDVDリリースにあわせて、『トップをねらえ2!』の特集だ。なんとバックに『合体劇場版!!』を流し続けながらという、贅沢なトークとなった。また、映像資料用にバンダイビジュアルのビデオカメラが入るという、異例のセッティング。
 壇上に上がったのは、鶴巻和哉監督、脚本家の榎戸洋司、佐藤裕紀プロデューサー、そして小黒編集長。まず、前作である『トップをねらえ!』をどう見たのか、という話からスタート。


 小黒編集長から、アニメマニアの情念が形になった、という印象があった、という話が振られ、庵野秀明以下、スタッフ陣がいかにマニアなのか、という話が各々の口から語られた。鶴巻監督は、「どこまでが意図的に入れていて、どこからが偶然なのかがよくわからない」と指摘。榎戸さんは、自分達にとってはあまり魅力的に思えなかった過去の作品も、庵野監督や樋口真嗣さんにはこう見えているのか、と驚いたと語る。
 鶴巻監督は当時所属していたスタジオで先輩に混じって見ながら、「表面にある物語とは別の物語が裏で同時進行している」と強く感じ、他の人がそれに気づいていないのを意外に思ったという。その裏の物語とは、WEBアニメスタイルのインタビューでも語った「オタクに対して自己言及している物語」なのだそうだ。
 そこから、『トップをねらえ!』を「そう見てしまった」人間が作ったのが、『トップをねらえ2!』なのだ、という話になり、第2部の『トップ2』の話題へ。
 鶴巻監督によれば、「何をもって続編とするのか」という点から、『トップ2』の企画が始まったとか。『トップをねらえ!』自体に深く関わるような作品をやろう、ということで考えたのが、『トップ』の最後にノリコ達が帰ってくるシーンから、全体を逆算していこうというものだったという。「時間が経ってからの続編というのは珍しいし、スタッフは基本的には総入れ替えという状況で作るということを考えると、長い年月が経ってから『トップ』が還ってくるということと、ノリコたちが還ってくるということをシンクロさせられないかな」と語る。そうすることで、前作のような、多層的な物語を仕掛けられないか、と考えたのだそうだ。
 さらに、80年代のアニメ的なある種の大らかさ――鶴巻監督の言葉では「ゆるさ」――を再現することも、狙いのひとつだという。「かつては作品のスキを埋めて楽しむのが、おたく行為だったと思う。今の人達はもっとカチッと作られた作品が好きなのは分かっているのだけれど、かつてのそうした楽しみを、今の人達に向けて作れないかと思った」と鶴巻監督は語る。
 最初は『トップ』から遠いところから始まり、4話で『トップをねらえ!』に最も近づき、さらに5話で、イマドキの内省的な『エヴァンゲリオン』的な物語となり、そこまでいったところで最終的に6話で80年代的な「ゆるい」アニメに戻る――こうした構成も狙いのひとつであり、『エヴァンゲリオン』のあとで、80年代的なオタクの感覚を肯定できないか、という考えだったのだそうだ。「かつてオタクだった人達へ」というキャッチコピーの含意は、実はそうしたものだったのだ――という驚くべき“真意”も明らかに。
 一方、榎戸さんは、そういった鶴巻監督の狙いを理解しつつも、それを自分なりに、「思春期の話だろう」と読み替えていた……というのも、多層的な狙いをもつ『トップ2』らしいエピソードと言えそうだ。


 そのほか、トップレスと折り鶴の関連、SF的な部分での話など、濃厚なやりとりが山盛り。第3部では設定デザイン担当のコヤマシゲトも飛び入り参加。「『トップ2』には監督自身の物語も入っているのでは。ラルクを鶴巻監督として見れば、最終回のラルクが空を見上げる気持ちが見えてくるのではないか」と語った。
 最後のQ&Aコーナーでは、観客からたくさんの質問が寄せられたが、そのほとんどが『トップ2』の内容に関するもの。これには、みんなが非常に真面目に『トップ2』を見ているのだと、改めて驚かされた。
 4時間近くにわたった今回のイベント。観客も壇上のスタッフも満足できた内容だったのではないだろうか。
 
●公式サイト
http://www.top2.jp/

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(07.02.26)

 
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