感想メールで振り返るアニメスタイルイベント2010
オールナイト編・その1

 遅くなって申し訳ない! イベントのたびに読者のみなさんから感想メールを頂戴していたのだけど、ご紹介の機会をずっと逃していた。3月以降、アニメスタイルが関わったイベントの感想を一挙に掲載する。イベントに足を運んでくれた方は当日の空気を思い出すよすがに、イベントに来られなかった方はその空気を少しでも感じる手がかりにしてもらえたら幸いだ。題して、「感想メールで振り返るアニメスタイルイベント2010」。まずは新文芸坐でのオールナイトから。

■EVENT DATA

新文芸坐×アニメスタイルセレクション Vol.6
アニメの名作を観る『銀河鉄道の夜』

会場

新文芸坐

日時

3月27日 22時30分〜

トーク出演

杉井ギサブロー、細田守、小黒祐一郎(聞き手)

上映作品

『銀河鉄道の夜』
『STREET FIGHTER II MOVIE』
『あらしのよるに』

■感想メール

リージョン・10さん

 3/27、文芸座のオールナイト、チケットを購入いたしました。杉井ギサブロー監督、細田守監督のトークイベント楽しみにしております。
 『銀河鉄道の夜』をスクリーンで観る事ができる機会を得られた事、本当に興奮しております。今まで逃していた分の思いまで、この目にしっかり焼きつけたいと思います。また、『ストII』『あらしのよるに』の2作品も、劇場で初見のままですので、よく確かめたいと思います。特に『ストII』は、幻とは言わないまでも、滅多に観る事ができない作品になっているようで、気になっております。
 さて、杉井ファンとしての勝手な思い出話を唐突に語る事をお許しいただきたいのですが……。25年程前、『タッチ』の頃でした。当時グループタックそばの代々木に予備校通いをしていた私は、杉井監督のお姿を拝見した事があるのですが、その時の風景を鮮明に覚えています。
 Gパン姿の氏は、駅前通りに沿って歩いてきたかと思いきや、点滅する信号をまさに飛び跳ねるように3歩ほどで渡りきり、次の瞬間には路地に消えて行かれました。
 その若さと格好良さに、クリエイターという人達の何かが映り込んでいる様を見た気がして感動したものです。
 繰り返しますが、27日を楽しみにしております。

町田有也さん

 今回、【アニメの名作を観る『銀河鉄道の夜』】に参加をさせていただきました。
 杉井監督と細田監督によるトークショーでは、アニメーションの歴史を振り返るぐらいの深いお話を聞かせていただけたと思います。
 杉井監督の実験的な映画作りのお話は特に興味深く、今、拝見させていただいても新鮮な技術や表現方法のポイントを改めてインプットしてからの鑑賞は本当に素晴らしく、どっぷりと映像の世界に入り込む事ができました。
 杉井監督がトークショー終盤でおっしゃられていた、エンタテインメントとはコミュニケーションであり、「作品を軸に作り手とお客様がコミュニケーションがとれて本当のエンタテイメントではないか」というお言葉には、感銘を受けました。
 本当に映画がお好きなお二方のお話の様子は気の合う親子のようであり、昔からの親友であるかのようにも見えました。このようなアニメ文化を受け継いだり、共有していただいたりという機会がなかなかない中、このイベントは大変有意義で貴重な体験でした。

ドナドナNo.5さん

 今までに、いくどとなくTVでは拝見させていただいてきた『銀河鉄道の夜』、はじめて劇場のスクリーンで観ることができました。感謝♪
 冒頭のトークショー、壇上に上がられたお三方は、上から下まで全身真っ黒な衣装で揃えてきて、なにごとだ!? と思ったのですが、ナルホド、闇ですか。
 杉井監督いわく、まずは35mmフィルムでの上映ができて嬉しい、なぜなら、VTRではTVにノイズとしてのってしまうから、と。監督のこだわりであった黒を本当に堪能できるのは、劇場だけだったというわけなんですね。
 そして、監督が意図した闇(それは無ではなく、確かにそこには何かがある、という空間)、さらには満天の星空を観ることができました。
 ちなみに、あの星の数々、実はあれってガラスの粉だったとか! 通常はピンホールで済ます部分を、演出のこだわりから、それを乱反射させて合成し、あのような銀河が生まれたのだそうです。いやあー、綺麗だったなあ。今までTVで観ていたものは、なんだったんだろう……。

 その他にも、多岐に渡る場面で、冴え渡るこだわりの数々を、監督は謙虚に語られ、でも、最終的に行き着く場所だと思うのですが、親切ではないかもしれないけれど、あえてすべては映像や台詞で説明せずに、そこから感じ取ったイメージを増幅して楽しんでほしい、とのお言葉。ありがたかったです。
 アニメーションという表現方法は、とにかく多岐にわたるもので、最近はそれがひとつの価値観のもとで語られがちですが、もっと自由であるべき、というのが監督の信念であり、それこそが、監督が原作を読んで映画にしようと思う第一歩なのでしょうね。
 原作をそのまま映像化するのではなく、映画にしたいと思えるなにかが、きっとそこにはあるのでしょうね。

 いやあ、やっぱり映画はいいっす! 楽しいっす! 劇場で観る映画は最高だあー!

なすさん

 3月27日「新文芸坐×アニメスタイルセレクション Vol.6 アニメの名作を観る『銀河鉄道の夜』」に参加させていただきました。1週間近い時間が流れたにも関わらず、あの一夜の記憶が忘れられず、感想を送らせていただいております。
 実は就活で東京に赴いた折の参加でして、その理由も尊敬するアニメ監督・細田守さんのトークショーをきっかけとするやや不純なものでした(すみません……!)。
 が、『銀河鉄道の夜』『ストリートファイターII』『あらしのよるに』と杉井監督の作品を視聴し続け、今ではすっかり杉井監督の虜になりました!!
 なかでも気に入った作品は『銀河鉄道の夜』でして、幻想的風景はもとより、宮沢賢治の原作が持つ、優しいような怖いような奇妙な心がざわざわする感じをアニメという媒体に姿を変え、きちんと昇華できているなあと……素人の見解ではありますが。
 カムパネルラが下車するシーンで、映像の空気がそこだけガラッと変わるのも、ものすごく好きです。
 細田守という尊敬するアニメ監督をきっかけとして、杉井ギサブローという、日本が世界に誇るべきアニメ監督に新しく出会えたこと、大変喜ばしく感じております(お名前は『あらしのよるに』の視聴で前々より存じ上げていたのですが、ここまできちんと作品に関わる機会を持たなかったので)。
 杉井監督作品に関わるきっかけをくださったこと、そして「ひと晩ぶっ通しでみっつの映画を映画館でひたすら観続ける」という無謀とも思える貴重な経験を与えてくださったこと、小黒さん、ならびに関係者の方々には本当に感謝しております! ありがとうございました!!!!
 そして、もうひとつだけ。私情で誠に恐縮ではありますが、かくかくしかじかの事情で持ち合わせていたお金を急遽新幹線代に費やすハメになり、当日販売されていた細田監督のサイン入り絵コンテの購入が適いませんでした……。よろしければ、また今後何かの折にでも販売を切に、切に望みます!

■EVENT DATA

新文芸坐×アニメスタイルセレクション Vol.7
アニメクリエイターズ 西尾鉄也

会場

新文芸坐

日時

5月1日 22時30分〜

トーク出演

西尾鉄也、伊藤秀次、小黒祐一郎(聞き手)

上映作品

『NINKU ナイフの墓標』
『NINKU』
『劇場版NARUTO 大激突!幻の地底遺跡だってばよ』
『スカイ・クロラ』

■感想メール

W-asiさん

 西尾さんオールナイト、大変楽しめました。「週刊少年ひとおおかみ」をリアルタイムで読んでいた頃からのファンなので、こういう機会を頂けてとても嬉しかったです。「NARUTOvs忍空」は是非観たい!!(笑)
 心残りなのは、劇場の前で西尾さんに遭遇したにも関わらず、固まってしまい声をかけられなかったことです。目と鼻の先に西尾さんがいらっしゃって目が点になりました。その後エレベーターに乗った際に、西尾さんと歓談されていたアニメーターさんとおぼしき数名の方と同乗したのですが、もしかしてあの時、自分は物凄い空間にいたのでしょうか。あの方々が一体誰なのかは全く分からないのですが……。

NPCさん

 トークも上映作品もとても濃いもので楽しかったです。
 50分が5分に感じるほど熱中して聴いてしまいました。
 いつか沖浦さんオールナイト、パトレイバーオールナイトを実現して頂けると思いますので、首を長くして待ってます。7月も楽しみにしています。ありがとうございました。

海苔坊主さん

 先日の西尾鉄也オールナイト、とても楽しいイベントでした。
 トークショーでは西尾さんと伊藤さんの学生時代のエピソードひとつひとつが大変密度の濃いもので、時間が経つのを忘れてしまいました。西尾さん経由で伊藤さんが作画マニアになられてゆく過程のお話や、お2人の自主制作のエピソードでは、アニメマニアの連綿たる歴史が紐解かれてゆくようで、聞いていて大変興味深かったです。
 まさになるべくしてアニメーターになった2人、というか……。壇上での雰囲気も和気あいあいとしていて、とても羨ましい関係だと思いました。
 上映された4作品の中では、特に(自分が初見だったという事もありますが)『NINKU』2作品に痺れました。丁寧な日常芝居、ダイナミックなアクション。西尾さんのパワーが作品全体から溢れていました(お話にあがった「吉原正行さんのエフェクト作画」は、『ナイフの墓標』後半の炎が巻き上がる部分でよろしいのでしょうか? あの凄まじい描写をしてなお、ご本人はエフェクトが不得手と仰っていたということに驚きました。いかに西尾さん達がレベルの高い仕事を手掛けられてきたか……!)
 小黒さんの仰る、年代を経るにつれて西尾さんの技術が緻密になってゆく、という事も実感できました。
 西尾さんが、ご自身が各時代の最先端のエッセンスを吸収してゆく事に対して「ミーハーだから」と仰られた際の、伊藤さんの「ミーハーなのはよいこと」という発言も印象に残っています。

PS 西尾さんのメガミマガジン進出も楽しみにしています(笑)

黒霧さん

 黄瀬和哉さんの時は場所や時間的に都合が合わず行けなかったのですが……今回、新文芸坐×アニメスタイルセレクション、初めて行ったのですが、思っていた以上にトークや上映内容などとても充実していて凄い楽しめました!
 今回、参加してみた感想ですが、時間上の問題等あると思いますが、もう少しトーク時間があればいいなあ……っと思いました。
 アニメーターさんの話を直に聞く機会というのは滅多にないので時間で見ると長い感じがしましたが、聞いているとあっという間でもっと聞いていたい! っという気持ちでいっぱいでした。
 今後、難しいところもあると思いますが…アニメーターさんでしたら本田雄さん、井上俊之さん、後藤圭二さん、沖浦啓之さん、後藤隆幸さん。アニメ監督でしたら今敏さん、押井守さん、神山健二さん、合田浩章さんで新文芸坐×アニメスタイルセレクションあればいいなっと思いました。

rikkyさん

 トークショーを楽しみに参加したのですが、作画中心の話になると思いきや、同級生だった伊藤秀次さんに、西尾さんが学生時代にいかにコアなアニメファンだったか暴露されてました(笑)。
 でもその話がめちゃくちゃ面白かった! 2人で映画館でナウシカを観た時、金田パートになったら伊藤さんのひざをさすって教えた話など、とてもほほえましかったです(笑)。
 金田伊功の作品リストを作ったり、『DAICON』に感化されてお年玉をはたいてセルを買い自主アニメを制作する話を聞き、「これは西尾さんだけではなく、当時のアニメが好きな人はみんなこんな感じで、その人達が作る側になって、90年代以降の高技術な作品が生まれる原動力になったのかな」と思いました(あの沖浦さんも自主アニメを作っていたとは!)。
 北海道から初めて参戦したのですが、大変有意義な時間を過ごすことができました。関係者の皆さん、ありがとうございました! そして西尾さんがキャラデしたGLAYのPV、期待して待ちます!

HALさん

 今回、初めてアニメスタイルさんのイベントに参加したのですが、トークショーや、『NINKU』などとても濃い内容でとても楽しめました。
 西尾さんの若い時代の話はとても興味深い内容でした。
 欲を言えばもう少し作品についての作画話を聞きたかったです。
 映画の内容では『NINKU』から『スカイ・クロラ』までと時代の流れが見られたようで、トークショー内での、アニメが時の流れで得た物と失った物という話の意味が、なんとなくですが感じられたと思います。エフェクトによる画面の情報量の上昇や、線画自体にある官能性など、連続で見た事によって色々なことが強く感じられた気がしました。
 またこのような、オールナイトやアニメーターの座談会などを開いてもらえると嬉しいです。
 押井さん、西尾さん、沖浦さんとのパトレイバーオールナイトも期待しています!!

■EVENT DATA

新文芸坐×アニメスタイルセレクション Vol.8
最新作『カラフル』公開記念 監督原恵一の仕事

会場

新文芸坐

日時

7月10日 22時〜

トーク出演

原恵一、小黒祐一郎(聞き手)

上映作品

『エスパー魔美 星空のダンシングドール』
『クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡』
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』
『河童のクゥと夏休み』

■感想メール

おろちさん

 『暗黒タマタマ』が未見だったのですが、作画・演出の切れのよさに痺れてしまいました。
 スローでバナナを踏んづけるところを見せるアニメなんて、今まで見たことがありません。「変態」作画アニメだと思います。
 後、『暗黒タマタマ』で、ひまわりの寝顔の写真を撮るみさえや、『クゥ』で、遠野へ行く康一を見送る友佳里など、母親の描写に生々しさを感じました。
 最新作の予習以上に面白い発見がありました。
 「映画館で観る」という、貴重な機会をありがとうございました。

■EVENT DATA

新文芸坐×アニメスタイルセレクション Vol.9
初心者のための? 湯浅政明

会場

新文芸坐

日時

7月24日 22時45分〜

トーク出演

湯浅政明、小黒裕一郎(聞き手)

上映作品

『なんちゃってバンパイヤン』
『音響生命体ノイズマン』
『クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望』
『MINDGAME』
『ケモノヅメ』1話、2話

■感想メール

すいかバーさん

 湯浅監督と小黒祐一郎さんのトークから始まりましたが、監督の飄々とした雰囲気に小黒さんが乗せられた(乗った?)のか、緩い空気が作られていく感覚が良かったです。監督を生で拝見したのは初めてだったので、いい意味で衝撃をうけました。「動いてしゃべる湯浅」はまたナイスミドル(笑)。
 会場も適度に笑いで暖まってからの小黒さんのいい距離感での「事情聴取」がこれまた絶妙で、このトークだけでもイベントに来る価値はあると思いました。ただ一つ不満があるとすれば、観客の質問セッションがなかったこと。質問で尺を削られるぐらいなら、監督の話を少しでも長く聞いていたい、という葛藤もあったのですが、僕もカイバのロボバトルについて訊きたいことがあったので残念でした。あと、上映一発目の映像がカイバのノンクレジットOPというのは、慧眼でしたね。

鈴木雄さん

 『四畳半神話大系』の監督・湯浅政明さんが、『クレヨンしんちゃん』や『MINDGAME』に携わっている(『MINDGAME』の方は携わっているなんてものじゃありませんが)という事は知っていたのですが、それ以上はあまり詳しくなく、色々手を出してみようと思った矢先に丁度今回のイベントの事を知り、参加させていただきました。
 一応「初心者のための?」と付いているので、初心者の私にもわかりやすく、特にトークショーでは制作の裏側やマニアックでコアな話を聞くことができ、イベントに初めて参加した私にはどれも新鮮で、そしてとても面白い物でした。

海野さん

 大画面で『MINDGAME』が見れて非常に満足です。
 あれほど画面のサイズがダイレクトに感動に直結する作品もそうないんじゃないでしょうか。
 『ケモノヅメ』は1話2話だとどのみちストーリーは大して把握できないので、見所だけ抽出してくれた方が良かったかもしれません(色々難しいと思いますが……)。
 会場側は手際もよく、楽しく鑑賞できました。
 強いて不満を挙げれば、トークショーで湯浅監督がようやくエンジンかかってきた段で終わりになったのが惜しかったです。

大鳥HIPケイノスケさん

 久々に映画館の音のいい環境で『MINDGAME』を鑑賞しました。
 丁度6年前の夏真っ盛りのロードショウ当時は、先着ステッカー特典をコンプリートしたい思いもあり、カットフィルムを収集したいマニア心もあり、何度でもできるだけ大きな画面で鑑賞したい思いもあり、色々な方のトークショウを聞きたい事もあり、自分には似つかわしくない渋谷シネクイントさんに営業スーツのまま直帰して、毎週金曜日の最終回に通っていた事を改めて思いだしました。全般的に観客が少なかったのは否めない事実でしたが、最終日の最終回のトークショウの回では立ち見が出るほどの満席となり、トークをする湯浅監督の目が潤んでいた(あくまでも私見ですが……)のも僕自身は非常に感動してしまいました。……懐かしいです。

 カントクがトークショーで話していた前々から構想のある日常モノ(全く想像つきません)をいつかいい環境で作品にしてくれる日を物凄く楽しみにしています。
 まずは地上波デビューとその成功につき、オメデトウゴザイマス!!!

(10.12.24)