色彩設計おぼえがき[辻田邦夫]

第37回 新春特番 放送直前スペシャル! 今週から『墓場鬼太郎』始まるよ!

新しい年になりました。みなさん、お正月はいかが過ごされましたか?

今年は我が家、喪中ってこともあって、あんまり「お正月」って感じにはなりませんでしたね。暮れは30日まで仕事して、大晦日は浅草まで年越しそば食べに行って、夜はワイン飲んで紅白観ながら沈没。年が明けてからは、「元旦夜恒例の年賀状書き」(←遅ッ!)もなく、元旦、2日とそれぞれ僕の実家、奥さんの実家に顔出して終わり。3日だけ1日ゆっくり過ごして、翌4日からは通常通りのお仕事開始。まあ、そんなです。

おかげさまで「正月ボケ」もなく、フルスロットルでお仕事モードに入れてるのはいい感じですよ。で、仕事始め、年末年始帰省されてた方々のお土産をいろいろいただきました。我が家は僕も奥さんも東京生まれなんで、年末年始とかのいわゆる「帰省」って体験がないんですよ。で、帰省された方から帰省先でのお正月のこととか聞きながら、いただいたお菓子をもぐもぐ。今年もいろいろいただきました(笑)。

で、毎年いただきものの定番になってるのが「ままどおる」。これがいやはやおいしいのなんの! 同室の佐久間さんのおみやげで福島名物なんですな。ああ、幸せの「ままどおる」(嬉)。また次回もよろしくです(笑)。

そんな僕の年明けであります。

ただ……。

なんか、お腹周りがやけに増量した感じが……。あれ? おかしいなあ……。喪中なのに(←意味不明)。

さてさて。

新春とくればやはり「特番」。ということで、今週は特番でお送りいたします(笑)。

僕が去年から関わっている仕事は、『はたらキッズ マイハム組』『聖闘士星矢 冥王ハーデス エリシオン編』などいくつかあるんですが、目下のイチバンの中心選手はなんと言っても『墓場鬼太郎』であります。

知らなかったんですが、今年の1月で『鬼太郎』のTV版、なんと40周年だそうです。40年前、ってことは昭和43年(1968年)ですね。さすがに僕もまだ5歳(笑)。その昭和43年の1月3日に第1話が放映されたそうです。なんとまあ、1月3日ですよ! いまどき、全国ネットで新春3日からアニメの新番組なんてなかなかあり得ませんよね? 気合い入った作品だったんでしょうね。

この、最初の『ゲゲゲの鬼太郎』、白黒アニメであります。東映アニメーションのサイトによれば「東映動画最後の白黒作品」だったそうです。ああ、そうですよね。確か当時我が家はもうカラーTVになってましたから、ちょうどそういう時期の作品だったんですな。

その頃の僕の家では、あまりTVアニメって見せてもらえませんでしたし、たぶん知らなかったんじゃないかな、『ゲゲゲの鬼太郎』。いや、でも、なんか当時、ちらっと観たような記憶もあるのですが。でも毎週欠かさず、みたいな感じで観たりはしていませんでした。その後何年か経って作られたいわゆる第2期の『鬼太郎』は、ずいぶん観てた記憶がありますね。

その白黒版の『鬼太郎』を結構ちゃんと観たのが、僕が中学生か高校生くらいの頃、たしか夏だったかなあ? その頃、フジテレビの日曜早朝6時くらいから再放送をしてたのですよ。なんか、CM入れずに放送してたんじゃないかな? もうね、毎週欠かさず観てましたよ。雨戸開けずに暗いまんまの部屋で白黒版『鬼太郎』。とってもフンイキよくて、なんかどこかしら怖くて。

「地獄流し」「夜叉」「水虎」「おりたたみ入道」「吸血鬼エリート」などなど好きだったエピソードです。今思い出しても結構憶えてますね。中でも「大海獣」そして「おばけナイター」がすごくよかったなぁ。「おばけナイター」見終わって、思わず「うう〜む!(ニヤリ)」と唸った記憶が(笑)。

で、その白黒版『鬼太郎』から40年経ちまして、今週1月10日から『墓場鬼太郎』が始まります。

実は今回、この作品の準備にあたり、初めて復刻版の原作を読みました。なんとも懐かしい香りがあり、でもとっても斬新で、とっても濃いんだけどサラリとしてる。なんとも言えない魅力にあふれた原作でした。いやあ、はまりましたよ! もっと早くに出会って読みたかったなあ。さらにビジュアルの参考資料として、水木先生の画集をそろえてもらったんですが、これまたはまりまくってます。すごいなあ、水木しげるの世界観と色彩感覚。

この独特の空気感をどうやったら画面に出せるのか、と、地岡監督をはじめスタッフみんなで取り組みまして、探り探り、なんとか形になりました。

ちょっとだけ書きますが(笑)、たいていの場合、画面は作画・仕上と背景の組み合わせでほぼ決め込まれるのですが、今回はそこに撮影での特殊な画面処理が加わります。この撮影処理で最終的に独特のフンイキを作っているのです。

ところが、その撮影処理でセルも背景も大きく見え方が変わってしまうのです。撮影処理が済んだ最終的にできあがった画面に合わせて「最終的にこういう画面にするためには、セルの色はどんな色にしておけばいいのか?」という「逆算」の考え方でセルの色を作っています。

ですので、色指定どおりに塗り上がったセルと、実際に完成した画面でのセルの色はとっても違うのです。なので、この作品用に色指定用の色変換フィルターというものを作りました。キャラクターの色味を作っていくときには、このフィルターをセルの上に乗せて色味のチェックをしていきます。正直、とっても大変な手間ですが、画面のできあがりにワクワクしながらの作業はとっても楽しいです。

難産の末、#1が完成したのが昨年年末ギリギリでありました。納品の前日の深夜、#1の完成版を大泉スタジオの編集室で観たのですが、もうね、野沢雅子さんの鬼太郎の声にしびれました(笑)。いやあ、ぴったし、って言うか想像以上で感激です。声聞いてこんなに嬉しかったのは久々かも。どこか、僕の記憶の奥の方で何かつながったような気がしました。

そんな感じで、お話、演出はもとより、作画的にも画面の質感的にも、そして声も音楽も、結構気合い入った作品に仕上がってるかと思います。#OPと#EDは意外な人が関わってたりしてますが、まだバラしちゃだめらしいのでナイショです(笑)。ああ、他にもいろいろ書きたいところですが、まずは『墓場鬼太郎』観ていただいてから、ということで。

残念ながら基本関東ローカルな枠での放送で、ネットされてる関西、東海地方は1週ほど遅れての放送になるようです。ああ、全国で観てほしいなあ。他の地域の皆さんはDVD待ちになっちゃうのかな?

ともかく乞うご期待であります。

■第38回へ続く

(08.01.08)