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COLUMN
第58回付録

魔法のプリンセス ミンキーモモ
第46話 夢のフェナリナーサ
仮題「ある日突然に」


脚本 首藤剛志

○ 夢
   モモが呪文をとなえて変身する
モモ「ピピルマ、ピピルマ、プリリンパ、パパレホ、パパレホ、ドリミンパ、アダルトタッチで、大人にな〜れ」
   と、モモが今まで変身した18才のモモが、次々に現れ、画面にひしめく
   十二才のモモが、ステッキを持って飛び出してくる
モモ「待、待って、どれが大人になった本当のモモなの?」
   十八才のモモ達が口々にいう
   「私がモモよ」
   「私、モモです」
   「モモは私……」
   「モモだもん」
   「モモ……」
   「モモ……」
   「モモ……」
   エコーして――
   十二才のモモ、後ずさりして
モモ「違う、違う……違うね。どれも私じゃない」
   十八才のモモ達が聞く
    「どうして?」
    「どうしてなの?」
    「なぜ、そう思うの……」
モモ(十二才)「だって、だって、本当の私は……まだ大人じゃないもん。魔法の大人は、本当じゃないもん。アッ!」
   ピシピシとステッキにひびがはいり、くずれていく
   大人のモモ達、消えていく

○ モモの部屋
   モモはパチッ目をさます
モモ「ユメ……。ユメかあ〜ぁ」
   モモ、のびをする
   その顔に朝陽がキラキラと光をなげかける
   窓辺に来るモモ
   どこかの街に朝陽が昇っていく
モモのN「その日は、いつものかわらない、普通の朝でした」
   モモ、机の上のこわれたペンダントをひとさし指ではじく
モモのN「そりゃ、大人に変身できるペンダントはこわれ、おうちの外には、もうグルメポッポもありません。でも普通の子には、それが普通でしょ。モモは今日、普通の女の子なのだ、ウン」
   ベッドサイドでシンドブック、モチャー、ピピルが眠っている。
モモ「さ、シンドブック、モチャー、ピピル起きましょ」
   三匹、フニャフニャとねぼけて起きない
シンドブック「もっちっと、もちっと……」
モチャー「寝る子は育つ、ムニャムニャ……」
ピピル「しゅいみん不足は美容の敵じゃん、オヤスミィ〜」
モモ「ん、もう! でも、いいか。今日はなんだかやさしい気分。そっとしておこ」
   モモ、忍び足で部屋の外に出ていき
モモ「ごゆっくり……」
   ドアを閉める
   三匹、フッと目を開けるが、トロンとした目で
   「あんがと、おやすみ」
   再び眠る

○ ペットショップ、ダイニングキッチン
   パパとママ、モモが食事を食べている
モモのN「朝は、いつもの様に、ハチミツをたっぷりのワッフルとカフェオレ」
   モモ、食べ終えると
モモ「ごちそうさま。じゃ、私、学校行ってきます」
   と、パパとママにキスする
パパ「うん」
ママ「気をつけてね」
モモ「ハーイ」
   モモ、元気に飛びだしていく
パパ「学校か……あれ?」
ママ「どうしました?」
パパ「あの子、学校なんかに通ってたっけ」
ママ「えっ? そういえば……。でも、あの年頃ですもの。学校にいってて当然ですわ」
パパ「うん、それもそうだね」

○ 学校
   鐘がなる
鐘「カンコン、9時です。一時間目のはじまりです。みんな、しっかりお勉強しましょ」

○ 教室
   窓ぎわの席でぼんやりと空をながめるモモ
モモのN「学校で、いつもの様にお勉強……」
   先生がどなる
先生「モモちゃん! どこみてるんです!」
   モモ、飛びあがる
モモ「キャピ!」
       ×   ×
   モモ、教室の後に立たされている
モモのN「いつもの様に、よそ見をして立たされて……」
   モモ、あくびをする
   その姿がフェナリナーサのビジョンに映る

○ フェナリナーサの広間
   ビジョンを見ている王様と王妃
王様「今日は静かねェ」
王妃「ええ、静かですねぇ」
王様「宝石(ハッピーティア)があと一つつけば、フェナリナーサは地球へ戻るっちゅうに……。モモは変身するステッキをこわしてしまうし、グルメポッポは、エネルギー切れで消えてしまうし……大丈夫だばかねぇ」
王妃「なるようになるしかありませんわ」
王様「あん?」
王妃「フェナリナーサが地球に戻ることができるかどうか、それはモモと地球の人達の気持次第で決まることですもの」
王様「そりゃそうだば。きっと大丈夫だば。モモは、今、魔法以上のパワーを持っとることが分かっとるだばね」

○ 回想 45話より
   モモが、オーラの様な光を放ち、車をふきとばしてしまう

○ フェナリナーサ
王様「ウン、大丈夫だば……」
王妃「ええ……でも、あの子はそれを喜んでいるんでしょうか……」
王様「あん?」
王妃「あの子は、ああやって、普通の子の様に飛びまわっている方が似合っているような気がしてなりませんわ……」
   ビジョンの中に、ドッジボールをするモモが映っている

○ 校庭
   モモがボールを持って、はつらつと飛びはねている
モモのN「お昼休みには、いつもの様に、みんなといろんなことして遊んで……」

○ 校舎の時計が三時を指す
鐘「カンコン、放課後下校の時間。みなさん、さようなら、あしたも元気で勉強しましょう」

○ 本屋(紀伊国屋風の大書店にして下さい)
   子供達がずらっと並んで立ち読みしている。その中にモモもいる
モモのN「学校の帰りに、いつもの様にみんなと寄り道して、本屋さんで立ち読み……」
   本屋の店員が、子供達から本を取っていく
店員「さ、行った。立ち読みは禁止だよ」
モモ「ん、もう!」
   モモ、プッ、とふくれる
   (OL)

○ 公園
   モモ、スキップしながら来る
モモのN「みんなと別れてから、いつも行く公園に寄ってみました」
   モモ、噴水のへりに座る
   陽ざしが、噴水の水にキラキラ踊る
モモのN「その日は、冬だというのに、とってもお陽様があたたかでした。いい気持……」
   噴水の水に手をつける
   水滴がはじけ、陽の光と踊っている
   微笑するモモ――
   カーン!
   フッと顔をあげるモモ
   遠くで野球を練習している子供達がいて、外野を抜けたボールがころがってくる
子供「すいませ〜ん。ボールとって下さい」
モモ「いいわよ」
   モモ、ボールを追う
   ボールは公園の外にころがり出て、車道の中央で止まる
モモ「あそこだ」
   モモ、スキップして車道に出て、ボールをひろう
   誰かが叫ぶ
   「あぶな〜い!」
モモ「えっ?」
   振りかえったモモの目の前に巨大なコンテナトラックが迫っている
   モモ、立ちつくす
   その顔に恐怖はない
   まるで怪物に対峙するように、トラックをみつめる
   運転手が急ハンドルを切る
   ブレーキの音
   トラックは、ハンドルをきりそこなってひっくりかえる
   コンテナから、積んであったおもちゃの山がとびちる
   オルゴールが、てんで勝手に色々な曲を鳴らしはじめる
   スイッチの入ったおもちゃが、勝手に動きまわっている
   落ちているボール
   モモの顔――微笑――モモの顔、スーッと消えて
   画面、事故現場のフカンになって、どんどんフカンになっていく
   事故現場に集まってくる人々――
   パトカーのサイレン、救急車のサイレン
モモのN「どうしたの……いったいなにが……なにが起こったの……」
   画面、街全体のフカン。やがて雲が街をおおいかくし、さらに画面は上昇、地球が遠ざかっていく
   〈FO〉

○ 白黒の写真
   「ラブラブミンキーモモ」のメロディがピアノ、又は、鉄琴でポツンポツンと流れて
   雨の降る墓地の遠景(洋風です)
   傘を持ってたたずむパパとママ
   ぬれるにまかした、シンドブックとモチャー、ピピル――
   一枚の写真で――

○ フェナリナーサの王宮
   ビジョンに映っている写真
王様「こ、こんな、こんな馬鹿なことが! 夢の世界の女の子が、現実の車なんかにひかれるなんてェ! やじゃ。わし、やだば」
王妃「夢の世界は、結局現実の世界の中では、生きていかれないのかもしれません」
王様「だば、君がモモの年頃のときには、ちゃんと夢の国は地球で生きられたじゃないの」
王妃「今は昔とは違います」
王様「なんで、なんでだば。それに、モモはその気になれば、あんなトラック、はねかえすパワーがあった筈だば……。悔しいだば、わし……わし……(ポロポロと泣く)」
王妃「きっとモモは、そのパワーをつかおうと思わなかったのでしょう。いえ、思いつきもしなかったのかも……。だって、あの子は、ほとんど普通の女の子でしたもの」
王様「君ね、こんなときどして、そんなに落ちついて話せるの? わし、わし、おこるだば」
王妃「おだまり! 子を思わぬ親が……子を思わぬ親がどこにおります!」
   王妃、目がしらをおさえてスーッと出ていく。
   キラキラと細かい涙が飛ぶ
王様「かあちゃん……」

○ フェナリナーサ 窓辺
   夜空に星がまたたいている
   窓辺に来た王妃、たまらず泣く
王妃「モモ……モモ……どうしてこんなことに……」
   と、どこからか、モモの声がする
モモ「ママ、わたしにも、わかんないわ……」
王妃「云って、モモ、モモなのね……」
   夜空の星が集まり、モモの星座になる
モモ「どうしてこんなことになっちゃったんだろ……。でも多分これが死んだってことなのね」
王妃「いいえ、あなたは、ちゃんとそこに生きているわ」
モモ「そかな……わかんない。だけど、どうして、わたし、なんの為に地球へ行ってたのかしら」
王妃「あなたがいい事をして地球の人達に夢や希望をあたえることができたら、フェナリナーサは地球へ戻ることができるのです」
モモ「無理だわ、そんなこと」
王妃「えっ?」
モモ「だって夢や希望は自分が持つものでしょ。人からもらうものでも、人にあげられるものでもないと思うもん」
   王様が駈けてくる
王様「モモ! その声はモモだばぁ!」
モモ「パパ……お役目はたせずごめんなさい」
王様「ええ、もう何もいわんでいいだば。戻っておいで、フェナリナーサへ」
モモ「戻れといったって戻る体がないもん」
王様「そんなもん、魔法でいくらでも作ってあげるだば……」
モモ「パパ、もしも戻れるなら、わたしはわたしの夢を見たいの」
王様「えっ?」
モモ「夢の国の私の夢じゃなくて、本当の私の本当の夢……」
王妃「行きなさい。モモ。あなたは、あなたの夢を見なさい」
モモ「できるかな」
王妃「できます。あなたなら」
王様「わし、さみしいだば」
王妃「あなた、子供は親からはなれてこそ大きくなるんですよ」
王様「うん……。そだば……。行け! モモ! お前の行きたい所へ!」
モモ「メルシー、サンクス。いつかきっと、又、会えると思うわ」
王妃「ええ、いつかきっと」
王様「行け! モモ!」
   モモの星座、キラキラと光りながら地球へ降りていく
   〈CM〉

○ モモの星座、光の渦につつまれる

○ 虹の光になって、どこかの町のペットショップに落ちていく

○ 闇
   モモが浮かんでいる
モモ「ここどこ? ……あったかい……わたしどうしてここに……わたし……だれ」
   モモの姿が闇にとけこんで――
   どこからかママの声が
ママ「パパ、わたし達に子供が……」
パパ「ええ? 本当かい……」

○ ペットショップ
   花さき乱れる春
     ×
   太陽のギラつく夏
     ×
   落ち葉の秋
     ×
   チラチラと小雪の降る冬

○ 闇
   やがて、闇の向こうにあかりがみえる
   みるみる光は広がって
   赤ん坊の元気な声

パパの声「よくやった、ママ。元気な、元気な女の子だよ」
ママの声「女の子……」

○ ペットショップ 居間
   あみものをしているママと紙とエンピツを持って考え込んでいるパパ
   傍に三匹がいる
パパ「ウーン……どうしようかなぁ」
ママ「まだ決まらないんですか、あの子の名前……」
パパ「うん、僕らの子供の名前……どうしても一つしか考えつかないんだ」
ママ「女の子ですしね。私も一つしか思い浮かばないんです」
パパ「ミンキーモモ……?」
ママ「ええ、ミンキーモモ……」
   三匹、微笑して部屋を出ていく

○ モモの部屋
   ゆりかごの中に赤ん坊のモモがいる
   赤ん坊のモモ、じっと机の上にある写真を見ている
   パパ、ママ、十二才のモモ、三匹が写っている
   三匹がソッと入ってくる
モチャー「モモ、おいら達の事、憶えているかな」
シンドブック「いや、生まれる前のことは誰も憶えちゃおらんよ」
ピピル「そかこの子、本当の人間なのよね」
モチャー「モモが、大人になるまで、僕ら生きているかな」
シンドブック「安心せえ、モモは人間でも、わしらは夢の国の動物じゃ。寿命が違う」
ピピル「人間のモモも、私達と話ができるかしら」
シンドブック「モモは人間になっても夢を失うような子じゃないよ」
モチャー「うん、きっとお話しできるよね」
シンドブック「さ、今は、そっと寝かせておこう」
   三匹出ていく
   赤ん坊のモモの無邪気な顔

○ フェナリナーサ
   ビジョンに映るモモ
王様「モモはもう、わしらの子供じゃなくなったんだばね」
王妃「ええ……でも、人間になったモモが、夢と希望を失わずに大きくなって、自分の夢をかなえることができたら、その時は、この王冠にハッピーティアがはまって……」
王様「フェナリナーサは、地球へ戻るだば」
王妃「そして、私たちと、現実のパパとママの、両方の子供になってくれますわ」
王様「モモが大人になる日か……長いだば」
王妃「いいえ、夢の国のわたしたちには、ほんのつかの間ですわ」
王様「モモ……夢を失わないでくれだば……」

○ ゆりかごの中のモモ
   画面、近よる
   瞳の中にフェナリナーサが見える
モモのN「見える……私には見えるわ。フェナリナーサの降りてくる日が……」

○ 幻想
   王冠が光り輝く
   フェナリナーサが地球に降りてくる
   光の乱舞
   見上げる人々
   汚れた街角が、キラキラと輝く
   汚れた海が、キラキラと輝く
   汚れた川が、光り輝く
   まるで、地球はオリンポスの楽園か、エデンの園
   人々は窓を開け、街路へとびだす
   虹が、オーロラが、世界を駈けまわる
   フェナリナーサ、宙に浮き、大理石の階段が地上とを結ぶ
   モモ(18才)が、三匹をつれて、階段を駈け登っていく
   地上で見送る初老のパパとママ
   モモ、フェナリナーサの門で、王妃と王様に会う
モモ「ハーイ、パパ、ママ」
   ニッコリ笑う王妃と王様
   王妃、ミンキーステッキをモモにわたす。モモ変身して十二才に戻る
   モモ、ステッキを振る
   門が開く
   ドーッと童話達の主人公達が飛びだしてくる
   大理石の階段の上に虹がかかり、十二才のモモと三匹、そして童話の主人公達が、すべり降りてくる
   続いて光の輪に乗って王様と王妃も降りてくる
   山のかなたからユニコーン達が走ってくる
   サンタクロースもいる
   UFO型宣伝カーも飛びまわる
   地底の国のプリンセスも恐竜に乗って来る。初老のパパ、それを見て若がえる。ピータータン達にかこまれて若がえるママ
   パパとママ、王様と王妃、微笑しあう
   やがて、「ラブラブミンキーモモ」の合唱が起こる
   モモを先頭にして行進がはじまる
   「ミンキーモモ」全46話に登場したキャラクターの全てがそこにいる
   「ミンキーモモ」全46話に関係したスタッフ、声のキャストの全てがそこにいる
   キャラクター、キャスト、スタッフのかきねをこえて、肩を組み、踊り、足をふみならして行進する
   まるで東京オリンピックの閉会式のように……
   敵役同士も照れながら踊る、歌う
   遂には、モモが変身した様々な職業の18才も現われる
   全員の合唱が高まって――

○ スタッフ、キャスト、エンドタイトル

○ 予告タイムに代えて

   大宇宙、やがて銀河が見え、太陽系が見え、地球が見える
N「ミンキーモモは、どこかの宇宙のどこかの地球のどこかの町の子供のお話です。もしかしたら、あなたの地球のあなたの町のあなたの隣にモモがいるかもしれません。いえ、もしかしたら、あなた自身がモモなのかもしれませんね。MAY BE HAPPY MINKY MOMO AND YOUR WORLD、モモとあなたに幸福を……」
   地球がモモの星座の顔になって

   END MARKはない

  《スタッフ、キャスト、キャラクターのみなさん、御苦労様でした》

 
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編集・著作:スタジオ雄  協力: スタイル
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