web animation magazine WEBアニメスタイル

 
COLUMN
板垣伸のいきあたりバッタリ! 第89回
萌えた女性キャラあります?
(前編)



今、こんな状態です! 2シリーズ監督してて大忙しなのに両作品とも“タイトル・内容・スタッフに関してバラさないように!”と釘を刺されててまだ書けません(12月11日に片方は発表できるのでもー少々待ってください)。

 その“タイトル・内容・スタッフはバラせない”作品の打ち合わせの時、とあるプロデューサーから問われました。

「監督は今までアニメの女性キャラにハマッた事ないんですか?」

 即座に答えました。

「まったくないです! アニメの女性キャラどころか、現実の美少女アイドルですらポスター1枚買った事ない!」

 いや、別にアニメオタクとかアイドルオタクを馬鹿にしてるのではありません(ってか板垣などは自他ともに認めるアニメオタクですから……)。本当にどーやって好きになったらいいのか分からないんです、女性キャラも美少女アイドルも。『セーラー○ーン』が全盛期だった学生時分、友達皆が「○さぎちゃん好き!」「○イちゃんでしょ、やっぱ!!」と盛り上がってた横で、ひとり『ジョー2』、劇『エース』、『宝島』の話をして出崎アニメの布教に努めていたのが俺ですから。
 ところが、そんな“アニメ女性キャラ不感症(?)”の板垣が唯一ハッキリ“女性キャラに萌える”時があります。それは、

 やっぱり仕事の中で!

 ――いや、原画やコンテとかで女性キャラを描いてる時ですね。もちろん芝居を描く際、特にアニメーターは役者なので大半は“その女性キャラになりきって”るんですが、その一方では

「あ、この女の子可愛い。萌えだ、萌え!」

 と思ってる自分が確かにいます。そこで思い出してみました。とりあえず今回は“原画編”っつー事で。

描いて萌えた女の子キャラ BEST5 〜原画編〜

★第5位『WXIII 機動警察パトレイバー』の泉野明

 う〜ん。確かコックピット内の止めの1カットだけ。レイバーと怪獣のシーンを取ったはいいが、少しはメインキャラを描きたくて……しかも女の子が。とコンテをよ〜く見てみるとありました、野明のカット!
 ところがそれ、実は欠番(コンテチェックの際削られた)カットで大きく“×”が打たれてたんです。そう、ここで諦めたらそこから2ヶ月もロボとオバケばっか描かされるハメになると思い、作打ちの時「このカットはあった方がイイ!」と力説してムリヤリ復活させたカットでした。そりゃもうたかが止めとはいえ一所懸命レイアウト描きましたよ……超真剣に。でもレイアウトのバック(戻し)には黄瀬(和哉)様の修正がバッチリのってて、自分の描いた野明が全然似てなかった事に初めて気づきました。この時まだテレコムです。

★第4位『トップをねらえ2!』のノノ

 ノノがつかまったマシン兵器の腕をザックリ! から女店主(?)がタバコのケムリを吐くまで(確か、芳垣様と林様の間)。「ヤッベー、俺凄ぇ似ちゃったよ貞本キャラに!」と大喜びしてレイアウトを提出したら、貞本(義行)様より“こりゃカトゥーンだ!”というメッセージとともにキャラ修いっぱいのってて、自分の描いたノノが全然似てなかった事に初めて気づきました。ホント、貞本さんの修正よかったです!

★第3位『Re:キューティーハニー』のハニー

 これはもうオープニングの“101匹ハニー”に尽きますね〜。描き応えあって楽しかったです。実は101匹もおらず、本当は40〜50匹なのはナイショ……。

★第2位『犬夜叉』のかごめ

 犬夜叉のアクションも楽しかったけど、かごめの芝居・表情――描いてて萌えました。テレコムにいた時唯一描いたセーラー服かと思います(あ、動画の時は『耳をすませば』があったか……)。いくら走っても転がってもパン○が見えないアニメならではの短いスカートに胸もとのスカーフ、そして黒くて長い髪――もっと描きたかったなあ〜。

★第1位『バットマン ザ・フューチャー 甦ったジョーカー』のバットガール

 回想の中のバットマンとバットガールのシーンをやりました。バットガール対ハーレーはバズーカ砲バンバン撃ったりして楽しかったです。シンプルなボディラインでシャープなアクション……。その後の原画だけでなく監督やった『BLACK CAT』や『Devil May Cry』にまで、自分の作品に色濃く影響を与えたのが実はこの作品だったりします。『黒猫』のトレインや『Devil〜』のトリッシュなど、月をバックに凛と立つポーズのシルエット、実はこの『バットマン ザ・フューチャー』を思い出してレイアウト・チェックしてたり……。
 ま、とにかく萌えたのはバットガール。変身じゃなく“単なるコスプレ”ってとてもイイですよね。特に板垣が描きやすい線が少なく頭デッカチ。

「これが似なかったら、描けるモンねーよなあ!」

 とヒョロヒョロと楽しく描いたら作監の西見祥示郎様(最近では『鉄コン筋クリート』な方)にビシバシとキャラ修入れられて、自分の描いたバットガールが全然似てなかった事に初めて気づいたのでした。
 ――では次回はコンテ編で!



(08.10.16)

 
  ←BACK ↑PAGE TOP
 
   

編集・著作:スタジオ雄  協力: スタイル
Copyright(C) 2000 STUDIO YOU. All rights reserved.