各話演出の話を何週かにわたって書いて平田（雄三）様と新宿か○道楽で懐石食って『ゴーダム』してる間に、板垣がコンテ・演出やった『ロザリオとバンパイア』第10話が放送されておりました。ま、『ロザリオ〜』を受けた経緯は何度か前述したので割愛しますが、ガイナックス側（嫁・白石）からのオーダーは――



　――というわけで、動画枚数の上限が4500枚。
　下請けってこんなもんです。作画マニアの方たちにはなかなか理解していただけないでしょうけどホント、アニメって


　自社制作の作品ならば、その会社のお偉い方々の“よいフィルムになれば売れるんだから！”って思い込みだけで、それこそ１本（１話）何万枚使っても許されたり（？）する事もあります（たとえ、１本4000枚の予算だったとしてもね）。
　けど、今回受けた『ロザリオ〜』はゴンゾから“ガイナックスアニメーション制作部”が受けたグロス（下請け）。これは赤字を出してはかわいそうです、作画マニアの方々……。参考までに、動画１枚（動画＋仕上げまで）で、３百数十円〜500円ですから。つまり、4000枚の予算なのに7000枚（『獣兵衛〜』＃３の時の俺）使っちゃうと、“500円×オーバー分3000枚”で……もう、わかりますよね？
　とゆーわけで、4500枚。『あしたのジョー２』第22話のＢパート前半のジョーみたく、透過光を背負って言わせてもらえば――




　ま、本当に簡単なんですけどね、自分のコンテだし……。
　まずシナリオは『グレン〜』＃６と同じくらいイジりました。特にバトルの段取りはけっこう変わったかも（スミマセン……）です。元のシナリオでは、一同が向日葵畑に着いてから、Ｂパートまん中あたりの月音が屋敷から戻ってくるまで萌香・胡夢・紫・みぞれたちがずーっと“ザコ植物妖怪”たちを相手にしてて、辛かったんです。これ、アニメの限界かも……。実写だと、同じシチュエーション、同じ相手に同じアクションを何カット積んでも、画面の密度も高いし、何より１カット単位で値段がついてないので、逆に短い尺のカットを何十カット積む事で何とか間がもつところがあると思いますが、アニメの場合、画面の密度はどーしても低いし、アクションの気持ちいいタイミングってあんまりバラつきもない上、１カット増やすと、「原画単価4000円＋動画代」が発生します。つまり無駄なカット積みがなかなかできません。なので自分の場合、例えば「胡夢がザコ妖怪を１発２発斬るカット」を作って、「胡夢はザコ妖怪に勝てる！」が表現できたら、次にアクションする時は同じシチュエーション、同じ相手はなるべく避けるわけです。「ザコ妖怪同士が合体して大きくなる！」や「ツルの球体に巻き込まれて身動きとれなくなる女の子たち！」がそれで、これらはコンテ時のアドリブでシナリオにはありませんでした。ついでに「月音が呆然と見ている、ＯＦＦ（フレームの外）で台詞と音だけで繰り広げられる胡夢・紫ＶＳザコ妖怪！」もその一貫で、作画マニアの方々には申し訳ないですが、たとえ１万枚使えてもあそこで枚数を使って女の子たちのアクションカットを増やす気はまったくありません、板垣は（コンテ的にお客（視聴者）様を月音の気持ちに乗せてあのシチュエーションへ運んだつもりなんで、バトルの画って無理に必要ないですよね？　……ね？）。



　で、前に書いたとおり、コンテは稲っちを素通りして、作監は平田雄三（“かつぞう”と読む）せんせい！　原画陣は冒頭が学生時代からの親友・宮下君から、テント内はガイナックスの榎本様。テント出て森の中でエロく縛られて妖怪出現のあたりはガイナックスの新人・正野（扶小子）様。女の子３人に守られるあたりは同じくガイナの新人・渡辺（敬介）様（『グレン〜』＃６の時よりかなり腕を上げてました、彼）。そしてＡパートラストはガイナ作品ではお馴染みの芳垣祐介様（自分と同い年……巧い！）で、アイキャッチは２枚とも板垣ラフを後藤（望）様が清書。Ｂパートは頭から後藤様が結構なカット数頑張ってくれました。ありがとう。続きでガイナの新人の横井（将史）様もアクション描いてくれて、胡夢のブラ透けから萌香まではこれまた『グレン〜』＃６でもヨーコたちのバスタオル縛りをやった西垣（庄子）様（彼女の原画はエッロ可愛くってよい!!）。そして、ラスボス・巨大妖魔のシーンは、瑠妃の変身は平田雄三様、大暴れは見たマンマ今石洋之様（豪華な共演？）。その他、『グレン〜』＃６の時も沢山描いてくださった福元敬子様や田中裕介様。山口智様の、お館様に縛られる瑠妃も、少ないカットながら存在感のあるシーンになっててエロくて好きです。忙しい中やってくれてありがとう！


　おかげさまで『ロザリオとバンパイア』第10話は
　総カット数264カット・動画枚数4000枚弱
　で、赤字は免れたかな？（え、他の話数ってもっと枚数使ってたの？）

　そうそう、今回、単発演出ですが、福圓（美里／胡夢役）とまた仕事できて面白かったです。今度はまた監督作品で呼ぶからね！