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COLUMN
板垣伸のいきあたりバッタリ! 第34回
『D.M.C』情報#13
〜最終回納品祭り(2)〜
役者さん特集(前編)

 WOWOW加入者の皆さん、『Devil May Cry』最終話はいかがだったでしょうか? WOWOW非加入者(スミマセン、かく言う板垣も加入していないのです……)の皆さんは9月21日リリース開始のDVDで第1話から見てください。
 それにしても最終話……作画の大変さもさる事ながら、やっぱり役者さんたちの演技がひときわ光ってましたね。話的に出番が少なかったダンテ役・森川さんは「うおおおおーっ!!!」と吠えて、「Jackpot……!」と激カッコよくキメてくれたし、殺られる間際のシドの芝居は那智さんならではの芝居でした。……そして、パティの泣きの芝居〜ラスト「ダンテったら、私がいないと……」の台詞を聞いた時は、福圓さんで本当によかったと思いました!
 ――なわけで今回と次回は“役者さん特集”です。

ダンテ役・森川智之さん

 ダンテ役は最初っから悩みのタネでした。なにせ、原作のゲームは英語しゃべってるんで日本語に置き換えた時点で間違いなく違和感だらけです。

 「本編全部英語でしゃべらせて字幕を出しましょうよ!」

 とも言いましたが、皆に笑われあっさりスルーされました。

 「どうしよう……」

 と思ってる頃、テクノサウンド様より送られてきた各キャラ配役候補者リストを見て、丸山オーナーよりいろいろアドバイスをいただき



 その中で、丸山さんが「この中で一番合っている」と押したのが森川智之さんでした。で後日、自分と丸山さんでしぼった候補4名でダンテのみオーディションを行いましたが、3人目まで聞かせていただいたところで“いいかも……”くらいの役者さんはいたんですが、“決めた!”って人がいないというのが正直なトコでした。
 ところがそこへ、ダンテが入ってきたんです!



 ……と思ってよく見ると、森川智之さんでした。

 決めた!!

 だって、こんなに見た目がダンテなんだもん! ――て言うのは冗談で、もちろん芝居を聞いて決めたんです。オーディション4人目、最後にやって来た森川さんはまさしくダンテそのものでした(見た目もね!)。

 強くカッコよく、そして何よりも優しい本物の男! ――それでいて、なぜかやんちゃな……そう、一言で言うと“女にモテる男”!!

 森川さんのダンテなら、“パティはついて行ける!”と確信したわけです(見た目も似てるし!)。
 ああ、そうそう、12話の最後、ダンテがパティにかける最後の台詞は、もともと「たまには遊びに来るんだぜ。……お袋さんと一緒にな」でした。でも、現場で森川さんに演じてもらうと、何か未練がましく聞こえてテイク2で台詞変更。俺がその場でデッチあげた台詞で演じてもらいました。振りまわしてすみませんでした、森川さん!

モリソン役・大塚明夫さん

 モリソンは……もちろん原作ゲームにはないキャラなんですけど、それだけではなく、脚本に書かれていたモリソン像を俺が変えようとしたため、第1話が完成するまで周りの関係者様たちの理解が得られるか、が不安でしょうがなかったんです、実は。
 脚本でのモリソンは“40代後半の強欲オヤジ”とあって、ライターの方々にヴィジュアルのイメージを聞いたら、皆さん“コメディ担当の小デブ”ってイメージしていたんです。
 早い話、『名探偵ホームズ』のワトソンですかねぇ?

 絶対違うっ!!

 俺は直感で拒絶しました。そして、拒絶した後“何で俺、そう思ったのかな?”と考えました(自分はコンテでも何でも、いつも直感で行動した後、理論武装します)。
 なぜモリソンは“コメディ担当小デブ強欲オヤジ”じゃダメか? それは、たぶんこう思ったんです、俺。

 ダンテみたいな“最高の男”が自分の周りに配置する友人はまず美しく、たとえ人間とはいえ、“自分にとって尊敬できる部分がある人”なんではないか!? そんな“コメディ小デブオヤジ”なんて、ダンテがそばに置きたがるわけがない! よって、モリソンはダンテから見て“カッコよく、落ちついてて、将来こんなオッサンにならなってもいいか”と思えて、時には父親的に自分を説教できるような、精神面でダンテよりひとまわり大きな男でなければならない!!

 だから、阿部さんにああいうキャラを描いていただいたわけです。で、自分のコンテでも脚本からやや離れたモリソン像として描きました。でもやっぱり――

 「間違ってたらどうしよう?」

 て不安はやや残ってまして……。

 でも、その不安を払拭してくれたのが大塚明夫さんでした!

 ホントーに、大塚さんは自分のイメージしたモリソン像にピッタリ!!
 第1話のアフレコ時、大塚さん演じるモリソンを見て、プロデューサー里見氏は言いました。

 「監督のやりたいモリソンが、理解できましたよ!」

 自分も思いました。

 「俺の直感は正しかった!(ホッ……よかった)」

 飄々として、優しくカッコよく包容力があるオジサン――モリソンがまぎれもなくそこにいたんです。これならパティもあまえられる!(何か先月『アニメージュ』の取材でも言われたけど、キャラの配置が自然と『BLACK CAT』に似ましたね〜。三間さんも『Devil〜』は「『BLACK CAT』の大人版だ」と言ってました)
 余談ですが、フラフラ自転車じいさんのせいで自分が左足首を捻挫してしまったアフレコの日の事です。



 大塚さん「捻挫をあまくみない方がいいですよ。捻挫は腫れがひくまではとにかく冷やして、腫れがひいたら今度は温めるとイイ!」
 ――まぎれもなくそこにはモリソンだけでなく『ブラ○ク・ジャック』もいました!

次回、(後編)へ



(07.09.13)

 
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