web animation magazine WEBアニメスタイル

 
COLUMN
板垣伸のいきあたりバッタリ! 第148回
「いよいよ年末」の雑記

■請求書

「わ、ビックリした〜! ……お前ホントにフリーなんだなあ〜」

 ある時、名古屋(実家)の友人と電話で話してた際、俺が「請求書を出す」云々を口走ったら返ってきた言葉で、本人的には天然で「お前は今は“好きなコト”やってるけど社会的な保障はまったくないんだぜ〜」と言いたかったそうです。――そう、そのとおりでテレコム辞めてから9年(?)ほど、ずっと仕事ごとに請求書を切ってます、俺。自分の高校はいわゆる進学校だったため、実家の友人は皆それなりの会社員になってるヤツばっかりで、年々こーゆーギャップが広がっていくのが面白いんですね。でもこの不景気な世の中だからこそ

仕事量……言い換えるなら、「自分が役にたった分のみ」を請求する――つまり、出来高制が好きです

 あと「請求書控えの束」が! この控えの束を確定申告の絡みもあって毎年この時期見返すのがまた楽しいんですよ、日記みたいで。数年分全部とっておいてあるので、たまにパラパラめくってると、



 いろいろ発掘されてはしゃいじゃいますね。


■中古DVD


「こーゆー仕事をさせてもらってるのに不謹慎!」

 と、ある人から注意された事もありますが、自分は中古DVDをよく買います。もちろん新品も買います。むしろレンタルの方は会員にすらなってません。俺はどーしても現物が欲しい世代のオタクですから。
 で、最近買ったDVDを紹介します、誰も頼んでないってのに……。

●「ポリス・ストーリー」(主演/ジャッキー・チェン)
 もう問答無用! 自分らの世代は誰もが一度は楽しんだエンタテインメントでしょう。今回は1〜3までのコンプリートBOXを買って、特に1作目(香港国際警察)はビデオで何回も観てたため主題歌などは歌詞も知らない(し教えられても理解できず)にもかかわらず、

板垣的「うろ覚えで歌いたくなる主題歌BEST」ではかなり上位にくい込むと思われます!

 何しろ、近頃ますます厳しい状況に追い込まれている映画産業において、1980年代に

「映画を観る楽しみ」って何?

 の疑問に対し、実に端的に「アクション」と答えを出してる潔さがジャッキー映画の魅力ですね。そのへん街中を歩いてるモブさえ、全員拳法の達人に思えるのが素敵で素敵で。

●「女囚さそり けもの部屋」(主演/梶芽衣子、監督/伊藤俊也)
 この時代の梶芽衣子は本当にシャープでカッコイイ(「仁義〜」も「修羅雪〜」も)! 自分らが物心ついた頃の梶芽衣子って大映テレビドラマで、怖くてちょっと意地悪なオバさんと位置づけられてたので、『さそり』とかって逆に新鮮です。ちなみに伊藤俊也監督は俺が動画やった『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』(1995)で総監督をされてて、テレコムで何回かお目にかかった事があるのでした。だから、買ってみました。バイオレンスで面白かったです!

●「少年メリケンサック」(主演/宮崎あおい、監督/宮藤官九郎)
 宮崎あおいはもちろん可愛いんですけど、脚本が面白いですね、やっぱり。宮藤さんって本当凄いと思います。オジさんに勇気を与えてくれる映画でありつつ、若者が観てももちろん楽しくって個人的にこーゆーの大好き。実は登場人物たちの言動に滲み出る支離滅裂感(?)というか、意味やロジックよりも面白さを優先させるハイテンションな掛け合い、

こーゆーのが今のアニメ作りのホン読みでは通らないんです!

 ……って、アニメのライターさんが悪いんではありません。長年築いてきたアニメの作り方・システムの問題――というより、1人の人物を描くのに監督・脚本家・コンテマン・演出家・アニメーター・役者さんと……これだけのクリエイターたちの手を介するアニメーション制作の根本の問題点かと思うんです。つまり、この映画のような飛び跳ねた台詞・感情線をシナリオに盛り込もうとすると、確実に

「意味が分からない!」

 と画になる前――文字の段階でストップがかかる。というのは、後工程作業をするスタッフたちまで、意味を分からせる事が困難だからなのでしょう。

でも、アニメファンの方々はこーゆー面白い映画、本当に望んでないのでしょうか?



(09.12.10)

 
  ←BACK ↑PAGE TOP
 
   

編集・著作:スタジオ雄  協力: スタイル
Copyright(C) 2000 STUDIO YOU. All rights reserved.