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COLUMN
板垣伸のいきあたりバッタリ! 第136回
会社と人類(後編)
〜原画描き終えて、“黒”!

 (前回の続き)つまり、どんな会社に入ってても最初は幸せで、2〜3年経つと悪いトコロが見えてきます。「あの人嫌い」「この仕事がイヤだ」「なんとかして!」と。自分の経験から言うと、

 自らなんの努力もしていなければ、友人だろうが仕事仲間だろーが、3年もすれば必ず相手の悪いところが気になりだして、その関係は簡単に崩壊します!

 そんな人間、いや、あえて「人類」が何十人〜何百人集まって何かをしている場所――つまり学校や会社……しかし、学校に関しては上手い事に数年区切りで卒業という名の解散があるので除外し、この場合、会社は、本当に人類が目標を果たすのに相応しい理想の形態なのですかね? 溜め込むストレスと引き換えに毎月の給料や生活保障・退職金を会社からもらうのはもちろんよい事です。でもその

 溜め込んだストレス×社員数十名×数十年

 は目に見えないドス黒い、気持ちの渦みたいなモンを生みます。例えば、上にいるイヤな上司や先輩の命令には当然逆らえないですよね、同じ社員でいる以上は。その際のストレスはさらに下の後輩に向けられます。自分も社員だった時にトイレで先輩から蹴られるという、まるで中学生のイジメのような事をされた時は、

「なんだ、この大人世界?」

 と失笑したものです。でも、その先輩は先輩でやり場のないストレスをどこかにぶつけるしかなかったんでしょうね、それがたとえ暴力にうって出てでも……。

 たぶん、人類はいつでもどこでもこれを繰り返してるんでしょうから、会社も会社で、「会社の悪口」や「与えた仕事への不満」「あの人嫌い!」を陰でこっそり振りまくような不純物は取り除いてやらないと、会社自体死んじゃいますよ……会社って「大きな生き物」だから。

 「陰で」ってーのがよくないんでしょうね。会社側に正々堂々ハッキリ抗議して決着がつくのが一番なんでしょうが、大人の世界はそう甘くないし、抗議して負けて後輩にあたったり陰口振りまいたり。こーゆー社員、本心では自分を解放して(クビにして)ほしいんだと思うんですよ。大半の小心者は月給と保障がなくなるという不安から、最終的に惰性で会社に居座り続けて自分の「人生の旬」を見失っていくだけだから、本人たちのためにも会社はそーゆー人たちを解放して(クビにして)あげるべきでしょう。今の仕事仲間に拘ってる人も次の現場ではもっといい仲間に会えますから、きっと! で、今現在の板垣は……


 ま、でもこの幸せもいつまで続くか分かりませんがね……。続くよう努力はしますが、もしかしたら数年もしないうちに、どこかで

「是非、自分を社員にしてください。お願いします!」

 って申し出たくなる会社が現れるかも知れませんがね。たぶんそれは、俺がいろんな会社に席を置いて渡り歩いたぶん、かなり会社組織というモノを理解した模範的な社員になる時だと思います。とにかく今は束の間かもしれない幸せを満喫、と。でも、こーゆー

 世界全人類にとって普遍的な幸せとは何か?

 を自分がもっと頭良ければ作品(フィルム)にしたいトコなんですが、残念ながら今はウデが足りず無理そうです。幸せを描くという事は必然的に不幸も描く事になると思うんですが、とにかく板垣は

 暗い人間、悩む人間、無駄に考えてる自分に酔った人間

 を描くのが苦手で……。この辺は後の課題ですね、マジ。P様、そんな原作あったらやらせてください。

 そんな事を考えつつも「食ってくためには……」と何気なく受けたある作品の原画を終え「次も数カット取ろーかな〜」などと、のほほーんって自宅でうどんを茹でようとしたその時!

 自分の視界の隅っこに「黒」が横切ったんです!



(09.09.17)

 
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