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COLUMN
板垣伸のいきあたりバッタリ! 第13回
アニメーター・板垣伸の
思い出の作品(原画編)

 “原画編”……と言っても自分の場合、テレコム在籍中の後半4年間は原画だけを描いていましたが、辞めてからはコンテ・演出の傍らでチョコチョコ描いてる程度(やっぱ本業は“演出家”……て事にしたい)なので、原画で代表作なんて呼べるものはないんですが、とりあえずは楽しかった作品、楽しんだ仕事を挙げてみましょうか――

 アニメーター・板垣伸の思い出の作品(原画編)

その(1)テレコムのいわゆる合作
(と言えば聞こえはいいが、ただの海外からの下請け)
 『スーパーマン』や『バットマン』『アニマニアクス』など。よくも悪くも自分の原画のルーツですね〜。制作期間や放映日、参加した話数・本数などはもう忘れましたが、国内アニメと違って枚数は使いたい放題で、師匠は友永和秀様(最初の1ヶ月は田中敦子様)。本当に勉強になりました。俺みたいな凡人が今日までアニメで食ってこられたのは、このテレコム期を抜きに語れません。
 最近、ガイナックスの新人さんに原画の指導――てほど大した事は教えてないか――“原画のコツ”などを何とか理屈で説明できるのも“テレコム合作”+“友永様の指導”の賜物だと思ってます。

その(2)『モンスターファーム』(1999〜2000/制作・東京ムービー)
 東京ムービー(トムス・エンタテインメント)からテレコムがグロス請け。たしか、テレコムで2班設けてたはずです……。話の内容とかは憶えてないのですが、俺的に初めて“3回PAN”を描けて喜んでた記憶があります。

 つまり、東映派のテレコムでは“3回PAN”や“止めハーモニー”などの出崎テクニック的演出は皆無だったため、横長の大判を描いてレイアウトに“PAN×3回”と書いた瞬間――

 「俺も出世したもんだ!(……何のコッチャ?)」

 ――と思ったものです。

その(3)『機巧奇傅ヒヲウ戦記』(2000〜2001/制作・ボンズ)
 当時としては珍しくボンズ→テレコムの下請け。たしか、20話と21話を作画のみのグロスでやってたんじゃないでしょうか? 逢坂(浩司)さんのキャラが大好きで楽しく原画を描いたのですが、完成したフィルム、まったく観ていません!(誰か貸して……)

その(4)『犬夜叉』(2000〜2004/制作・サンライズ)
 今度はサンライズ→テレコムの下請け。これはもしかするとテレコム在籍中、“一番楽しんだ原画”かも……です。なので、参加話数とそのシーンも明確に憶えています。まず、第9話“カップラーメン食ってるトコから七宝登場まで”のシーン。とにかく、

 「板垣、お前の原画は頭がデカイぞ!!」

 と散々言われて、

 「そんな事あるもんか!」

 とOAをチェックしてみたら、オープニングの七宝に比べて自分の描いた七宝は“二頭身”しかありませんでした。……スミマセンす〜。
 次が第16話“弥勒と犬夜叉のチャンバラ”シーン。これがメチャクチャ楽しかったんですが、作監さんにタイミング変えられててゲンナリ。でも絵はかなり残ってると思います。んで、最後が第22話“ラスト、かごめが火の玉みたいなのを追っかけて坂を転がるシーン。実はこれがテレコムでの最後の仕事だったので、結構感慨深く6年と10ヶ月のいろいろな思い出が走馬灯のように駆け抜ける中、大好きなかごめちゃんを嬉々として描きました。「タイミングがいろいろと速かった!」と反省しています……。

その(5)『はじめの一歩』(2000〜2002/制作・マッドハウス)
 テレコム辞めて初めて取ったフリーとしての原画で、これも話数・本数は忘れましたが、“間柴戦”や“鷹村VS熊”“千堂戦”……あと“アダルト・ビデオのシーン”でせっかくAV女優の腰を動かす原画を描いたのに、OAチェックしたら、何と止められてた(あたりまえだ!)事を思い出します。ボクシング・シーンの原画は大いに楽しんで描きました。

その(6)『アベノ橋魔法☆商店街』(2002/制作・マッドハウス、ガイナックス)
 初めてのガイナックス作品です。最終話以外のガイナックス話数(1、3、7、12話)に参加。自分より少し前にテレコムを辞めてた後輩の柴田(由香)さんの紹介だったと思います。  第1話はたしか、タイトル前“サッシの放水”のあたり……亀の湯跡地のシーンです。平松(禎史)さんのレイアウト修正はお勉強さまでした。やっぱ、スーパーアニメーターですね、平松さん!  何より1話は、自分、右手を骨折してて、原画作業が大変だった事に尽きます。


 ……こんな不穏な状態で作打ちに行きました。
 第3話は前にも話題にした“宇宙に向かって放尿”シーンです。この第3話は今石(洋之)さんの代表作にして最高傑作!(今のところ……)
 第7話は再び平松さん話数。柴田さんの後のシーン、大工道具をバラまくあたり……。平松さんからは「派手に動くところ、ここしかないんで」と、楽しくやりました。
 第12話冒頭(前回までのあらすじ後)の“アルミ&サッシの全セル”シーンです。キャラ表すら見ずに描いたため、3話よりタチが悪く頭がデカすぎで、やっぱ2頭身でした。……ゴメンナサイ。

 ……て、こんな誰も知りたくない事ばっか書いてもしょうがないと気づいたので、続きはまた気が向いた時にでも。



(07.04.12)

 
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