板垣伸のいきあたりバッタリ!

第240回
『ベン・トー』の話(3)

「この作品ならでは」のカッコよさ・可愛さを描く!

 これがOP・EDのコンテを切る時、自分がいつも念頭に置く事です。そもそも「走って、回り込んで、髪がなびけばアニメのOP」っていうのは皆さんご承知のテンプレだと思いますが、それをやりつつも「この作品ならではの——」を考えて加える事で新しいOPが作れると信じてコンテを切る……しかないじゃないですか! ここまでいろいろやり尽くされてると……。というわけで今回『ベン・トー』のOPでは

金城優(ウィザード)が路上でカッコよく弁当を立ち食いする

カットなどがそれにあたります。あと「スーパーの棚の間を抜けてく〜弁当にT.Uしてサブタイトル」のカットもそうですね。走りじゃなく歩き目線(尺の都合上、やや早歩きですが……)で抜けていくとカッコいいかな〜と。ま、とりあえず頭っからナメますか。

Cー1〜3

槍水・著莪・白粉のキャラ紹介。テンポのいい前奏曲にあわせてカッコよくキメポーズ。各々フルーツを持ってるのは、かつてのアイドル誌や「ザ・テレビ◯ョン」の表紙アイドルっぽく……(記憶)。あと、スーパーの入口はフルーツや野菜だからってのもあります。よーく見ていただくとフルーツ光ってます。

Cー4、5

佐藤もキメようとするが白梅にビンタされて、あせびちゃんと遭遇〜フルーツの雪崩。あせびはパイナップル持って大喜びで駆けて来ると、近くのコンセントに足をひっかけて転ぶんです。速くて分からんか。

Cー6

スーパーに群がる客たち。特に意味ないんだけど、繋ぎとしてはこーゆーカットが有効だったりします。

Cー7

前述のスーパーの棚の間を抜けていくカット。棚はCGで白粉・著莪・槍水も土台はCG歩きに作画を貼り込む手法。david productionのCG部に感謝です! OPにサブタイをのっける演出は前の監督作でもやって感触がよかったのでまたやりました。毎話数弁当を描いてくださる弁当作監には足を向けて寝られないし、頭も上がりません。

Cー8

赤く染まる月に槍水がジャンプ! 「オメェ本当に月が好きだな〜」って突っ込み、今回に限っては受け付けません。だって歌詞にあるんだもん(笑)!

Cー9、10

顎鬚・坊主・茶髪の足がザザン! とINして立ちポーズ縦PAN〜キメポーズ! まで。茶髪の顔を見せない理由は——本編の話で後ほど。

Cー11

水着! サービス! 原画は横田守さん。

Cー12〜14

振り返る二階堂(公式サイト・参)〜振り返る佐藤・白粉〜同じくその引きの上に重なる槍水・著莪の激突! 「速い速い!」と言われましたが「曲にのせて何回も観てもらっちゃおう〜」って思いブチ込みました。

Cー15、16

割り箸ワイプからの金城寄り〜前述の路上でカッコよく弁当を食う金城と何度も立ち上がる佐藤。この曲を聴いて「この部分はこの画!」とほぼ一番最初に思いついた画。自分にとっての『ベン・トー』——男のイメージってとこです。

Cー17〜21

レイクパークのベンチでねる著莪〜起き上がり〜駆け出す著莪〜それを見る槍水〜「おーい、みんなぁ〜」と駆け寄る著莪! ——つまり人付き合いに不器用な槍水に対し、やたらフランクに誰とでも仲良くなれる著莪。その著莪を羨ましく思う槍水ってとこですね。こっそり内本君がいるのはコンテ段階から描いてました。

Cー22

バババッと貼られる半額シール。これも自分にとっての『ベン・トー』のキービジュアルのひとつ。原画は弁当作監・片山(貴仁)さん。

Cー23、24

Cー21の続き。やっと駆け出す槍水〜楽しげな一同。これも内本君描きました。Cー17〜21、23、24の原画は元テレコムの後輩・西澤千恵さん。

Cー25

佐藤VS二階堂。まっ、ど〜考えてもサビはアクションの方が喜ばれるでしょう。

Cー26

著莪VSザコ狼たち……。著莪の箸の使い方は#04をご覧ください。原画は細越裕治(ラフ原まで)。

Cー27

このカットの意味は今後の展開で知ってください。原画は横田守さん。

Cー28

勢いよくINして汗キラーリ! の槍水。歌詞の「汗は〜」にあわせての画。

Cー29

金城VSザコ狼たち。……もうそろそろ終わりなので「もう一息、金城いっとくか!」って感じで。

Cー30

槍水VSザコ狼たち。やっぱ最後は槍水のアクションでしょう〜と。原画は『グラップラー刃牙』のキャラデザ・東出太さん。『戦国BASARA弐』の時も原画を描いてくださったんですが、本当に凄いアニメーターで、狼の脇の下をくぐっていくあたり、カッコいいでしょう!

Cー31、32

弁当を食う佐藤と槍水。「締めて〜」の部分をリズム刻むカット割り。ほほえましく。

Cー33

振り上げる拳(槍水)。『キャプテン翼』に『BLACK CAT』、そして『ベン・トー』。何度も描いたカットで「やりきった若者」を表現する板垣の理想のポーズなんです。

Cー34

で、その引き。尺が短いからこそ、ダイナミックな引き幅でやや回り込み風マルチ。

Cー35

さらにその「やりきった」槍水の瞳に迫るカット。瞳に寄っていくの自体、アニメOPでは珍しくもなんともないけど、カッコいいポーズ・アングルならばヌケヌケとやってみよう! と。

Cー36

ラストカットはメインタイトルで。『ベン・トー』のロゴの中黒から回転しながらT.B。そこに被せるメインキャラたち。実はアニメ版『ベン・トー』のロゴは板垣自身が描いたラフをほぼ忠実にトレースされたデザインで、要するにこーゆーカットを作りたくてビスタフレーム(16:9)に対し、センターに中黒が配置された上でバランスよくフレーム内が埋まるように描いたロゴだったんです。所々「槍水のブーツ、トントン」が入るのはコンテにはなく、作打ち時に思いつきで「入れてください!」とその場の思いつきで原画さんにお願いしたんです。そのまま流れて、ラストの弁当容器に入ったメインキャラたち……。これは自分の『ベン・トー』——女の子のイメージビジュアルで、シリーズ全体のイメージが

弁当のオカズに女の子!

ってのが最初っからありました。
 以上、OPのシーン解説を駆け足でした。今回、コンテの際一番悩んだのが、皆さんお気づきのように

歌詞が『ベン・トー』のストーリーまんま!

なトコで、これはベタな「アニソン」を望む自分としては最高にありがたい事なんですが、ここまで原作にあわせてあるとヘタに画と詞の内容をズラすわけにはいかず、かといって詞のとおりに並べただけの画でも気持ちよいカット繋ぎにならないってわけ……。それが苦労した点でもあり、また楽しかったところです。
 次にEDの話。まずEDの作業手順としては#01、OPと演出を担当してくれた江副仁美さんに「じゃ、EDのコンテ・演出やってみる?」と振ったとこから始まります。江副さんは自分の前の監督作では制作だったんですが、本人たっての希望で「演出やりたい」との事だったので、今回演出処理をやってもらってます。で、#01もOPも板垣がレイアウト・ラフ原のチェックをした後の原画チェックからリテイクまでの後処理やスーパー店内の棚の管理、弁当コーナーの配置などもやってくれて本当に助かりました。そこで、何かガッツリ任せられるものは? と考えてEDを振ったわけです。

そのかわり、コンテから処理まで俺の方で徹底的に監修するから

と制作Pに進言して。彼女自身も「それでもいいからやりたい!」と……。

 俺、こんな時即決する人にはやらせてみる方なのです。——で、この話の続きは……

(11.10.27)