板垣伸のいきあたりバッタリ!

第220回
そーいえば、
アニメーター講座(3)

今回は第213回の続きですっ!

 そーいえば、アニメーター講座(2)で「ポーズの観察」について書きましたが、その補足から。自分が20代前半の頃、テレコムに出入りしてらっしゃったとある先輩アニメーターの方が、

ポーズの研究で外せないのは東映の戦隊ヒーローだよ!

とおっしゃってました。つまり変身してマスクを装着すると表情芝居が不可能になって体全体・身振り手振りでポーズを作るので非常に参考になる! との事でした。「なるほどお〜」と思ったものです。


アニメーター心得 その3

とにかくアニメをたくさん観て
アニメを好きになる事!

 アニメはおろかマンガですら見るのが気恥ずかしかった世代の大先輩などが、若い人に「アニメは観るな!」的説教をしがちなのがこの業界の常。でも、そんな戯言に挫けずアニメを観続けましょう! 歴史サイズから見るとアニメは新しい文化だから、古い文化人の方が「アニメばっか観てないで映画を観て小説読んでクラシックや落語を聴け!」と散々おっしゃるんですが、例えば映画だって小説だって昔はけして高尚な分野じゃなかったわけで。つまり将来的には「ゲームばかりやってないでアニメを観ないと立派なゲームクリエイターになれないぞ!」と言われる時代が来るんです。それに本当に真剣にアニメばかり観ていれば、いずれ必ず実写映画や小説・音楽・落語まで興味をもつはずです。結局「お客さんを楽しませ感動を与える」という共通項がある以上、すべて繋がってるんですから。逆にいまだに「僕、どーしてもアニメしか観たくないんだけど、こんなんで将来立派なアニメーターや監督になれるんでしょうか?」と不安を抱いてる方、大丈夫です。その方はさらに真剣に……そしてちょっとだけ能動的に観てみてください。すべてが人の手によって作られるアニメが、その魅力の面で実写や文学や音楽に劣るわけがなく、人の手によって描かれたアクションを真剣に研究すれば、実写アクションにも興味は向くし、声のみでキャラの感情を表現できる声優さんの芝居に真剣に耳を傾ければ「役者の演技力」が分かってきて、舞台・演劇とかにも関心を持つようになります。だから今はあえてもっともっとアニメを観ましょう! 実際アニメーターの方には、もっとアニメを観てください! って言いたくなる時があるんです。例えば作打ちで、



 その他、コンテ・演出でも「最近この演出は古いでしょ〜」とネタをボツにする事って多いんですが、「これがもうダメなんですか?」的な事をおっしゃる演出さんほど二言目には「最近アニメ観てなくて……」って言うんです。いや、年とっていけばアニメを観なくなるのは自然ですよ、自然。もちろん自分も例外ではありません。でもそれを職業にしたんなら「アニメを観ない……」を得意気に言わないでほしいんです。それって「私は向上心ありません」と言ってるのと同じか、もしくは「私、天才でーす!」と言ってるようにしか聞こえません。

今のお客さんを相手にものを作るなら、「昔アニメは面白かった」ばかり語ってないで、もっと今のアニメを好きになるべき!

 ……って、だいぶ前にも書いたと思うんですが、「アニメーター心得」としては絶対外せない項目なんで、あえて復唱しときます。

好きこそものの上手なれっ!

(11.06.09)