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COLUMN

アニメスタイルをお読みの皆様はじめまして。
私はマッドハウスで演出をやっている荒木といいます。
この度は小黒様の特別なお計らいで、私がマッドのHP上で連載しているコラムの特別編を、こちらに掲載して頂くことになりました。
そのコラムでは隔週で毎回、私が見た奇妙な夢についてお話しています。
この特別編を読んで興味が出た方は、ぜひとも連載の方も読んでいただければと思います。

さて今回は「シャア」についてです。
この話は私の身近にいる人なら大概聞いた事のある、いわば私の「定番ネタ」です。
あれは4、5年前の事でしたか……。



私は図書室に呼び出されました。高校の図書室です。
そこにはすでに男子高校生2名と、教師1人が立ち話をしています。
私が到着すると教師は傍らの生徒2名を私に紹介し、
「今度のガンダムで主役を演じる2人だ」と言いました。

そこで私は「ああそうだ、今日は次の新ガンダムのキャストについての相談をする日だった」
と思い出します。(高校の図書室で?……その時は何も疑問に思いませんでした)
教師に頼んで、彼ら2人が演じるキャラの絵を見せてもらいます。



私は「ガンダムSEEDのキャラに似てるな」
と思いました。ていうか今思い返すと完全に「ガンダムSEED」でした。

そして次に、私は教師に尋ねました。
「俺は何の役をやるんですか」
自分でも不可解ですが、その時の私は「キャストとして」ガンダムに出るつもりなのです。
ちょっとドキドキしていました。



すると教師は
「君にはシャアの役をやってもらう」
と言いました。私は驚愕しました。
「お、俺がシャアを!」



動揺する私に教師は、何だか新しい可能性とか、そういうことを伝えますが、
正直私はすでに居ても立ってもいられず、走り出してしまいました。

そうして私が向かった先は男子トイレです。
とりあえず高ぶる気持ちを落ち着け、私が始めたのは台詞の練習でした。



「これが若さか」
「認めたくないものだな」
等々、思いつく限りのシャアの名台詞を口にしてみる私。
その時の私は、願ってもない大役を、是が非でもやり遂げると気合十分でしたが、
残念ながらそこで目が覚め、私は
「あ〜夢か〜。俺シャアやれねえんだ〜」
と大変悔しがったのでした……。

……言っておきますが私は演技などやったこともありませんし、
何らいい声でもありません。何をもって「シャアを継げる気」でいたのか、
今でもわかりません。

これも刺客のなせる業でしょう。
げに恐ろしきは、赤い彗星のシャア。


荒木は中学生の頃からガンダムが好きで、特に「逆襲のシャア」は何度も繰り返し見ました。
真剣にドラマを見ても深いし、ボーっと見てても飛んだり跳ねたり楽しいので、今でも「見るものないな」と思うと条件反射的に見始めてしまいます。余談ですが、そういう学生時代を送った余波で、私は今でも「ガンダムやってた」人に会うと、無条件に尊敬してしまいます。最近は年下の知り合いがガンダムの仕事を始めたり、そうすると自動的に私の「尊敬のひと」の仲間入りです。ほとんど「パブロフの犬」です。たぶん一生そうなんだろうなあ。老人になってもガンダム好きそう。還暦のお祝いもガンプラです。ジオンの紋章入りの赤いちゃんちゃんこ……そういうのすでにありそうだな。……何を話しているんだろう俺は。失礼しました。それではこの辺で……。


(08.06.17)

 
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