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007『オネアミスの翼 王立宇宙軍』(1987年・劇場)

テキスト担当/三浦大輔

【あらすじ】

 王国連邦オネアミスの宇宙軍に入隊したシロツグは、大空への憧れを忘れかけていた。見かけ倒しの宇宙軍は、宇宙船を持つどころか、無人衛星の打ち上げもままならない。あてどない軍務に耐えきれず、転職を考えるシロツグ。だが、神の教えを説く少女・リイクニとの出会いが、彼の情熱に火をつけた。同僚の心配をよそに、シロツグは人類初の宇宙飛行士に志願する。宇宙軍はロケット打ち上げプロジェクトに邁進するが、国家間の思惑が彼らを翻弄するのだった。

【解説】

 アニメ&特撮の自主制作団体「DAICON FILM」で喝采を浴びた異端児たちが、本作制作のためにGAINAXを設立。25歳の新人監督・山賀博之をはじめ、岡田斗司夫、庵野秀明、貞本義行ら20代の新星が、総製作費8億円のオリジナル劇場大作に挑んだ。
 緻密に設定された異世界・オネアミスの現実感とイマジネーションは空前絶後。現代音楽界の俊英・坂本龍一によるアヴァンギャルドな民族音楽も心に残る。
 終盤、最新兵器の実験場と化した発射場から、ロケット打ち上げに至るスペクタクルシーンは、比類なき技巧派アニメーター・庵野秀明のベストワークだ。
 若く無名の存在だったシロツグは、仲間と作り上げたロケットで、見事宇宙へ飛び立ってゆく。その姿は、映画づくりに情熱を傾けたGAINAXの立志伝と重なり合い、観る者の感情を激しく揺さぶる。

【スタッフ】

原案・脚本・監督/山賀博之
キャラクターデザイン/貞本義行
作画監督/貞本義行、庵野秀明、飯田史雄、森山雄治
美術監督/小倉宏昌
音響監督/田代敦巳
音楽監督/坂本龍一
制作/GAINAX
声の出演/森本レオ、弥生みつき、村田彩

008へつづく

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(12.06.29)