アニメ様365日[小黒祐一郎]

第413回 『超神伝説 うろつき童子3 —完結地獄篇—』

 『超神伝説 うろつき童子3 —完結地獄篇—』では、SF的なスペクタクルがメインとなった。エロティックな場面もあるのだが、作品中で占める比重としては小さくなっている。そのためだけではないのだが、『1』『2』とはテイストが違った作品となっている。
 『3』の前半で、南雲と明美は結ばれて、その結果、南雲は覚醒。巨大な悪魔のような存在となる。南雲の覚醒と共に、「人間界」「獣人界」「魔界」に異変が起こり、三界が破壊されていく。人間界に多くの魔物が出現。南雲は都市を破壊し、魔物達を殺戮する。再び復活した水角獣は、海の魔王の力を借りて、南雲と戦うが敗北。天邪鬼も獣人の姿となり、南雲に挑む。そして、真の超神が出現し、天邪鬼に語りかける。真の超神の言葉により、超神伝説の全てと、南雲と明美の役割が判明する。
 少なくともリリース当時の感覚としては、破壊に満ちた世界のビジョンは刺激的だったし、超神伝説の真実も意外なものだった。謎は解明されたし、三界内の行く末も見えた。超神を探し求めていた天邪鬼のドラマとしても完結している。ただ、『1』『2』の破天荒さと比べると、『3』はきれいに話をまとめすぎている印象だった。最後の最後でいいところを見せるとはいえ、基本的に天邪鬼が、超神の計画に翻弄されているだけなのも、少しばかり物足りなかった。印象に残っている場面も『1』『2』に比べると、『3』はずっと少ない。
 また、『3』の終盤で、明美が女神のような存在となり、南雲を相手にして、ちょっとしたメロドラマを演じる。そこで明美は「愛」という言葉も口にし、音楽も感動的に盛り上がる。初見時に「『宇宙戦艦ヤマト』のスタッフが作ると、やっぱり最後は『愛のドラマ』になるのか」と思ったのを覚えている。思春期に『宇宙戦艦ヤマト』に触れたファンの、過剰な反応だと言われるかもしれないが、そう思ってしまったのだから仕方ない。
 初期3部作を振り返ると、『1』『2』は、勢いに任せて暴走し、完結編である『3』は、きれいに話をまとめたというかたちだ。『3』単体では、少々物足りないと感じるが、『1』『2』『3』で1本の作品だと思えば、不満はない。

第414回へつづく

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(10.07.22)