アニメ様365日[小黒祐一郎]

第219回 『GU-GUガンモ』その5 6話B

 『GU-GUガンモ』で作画マニアが注目していたのが、前回まで取り上げていたスタジオジュニオ担当回と、今回から触れるスタジオジャイアンツ担当回だった。スタジオジャイアンツは、前番組『さすがの猿飛』で異様にパワフルな仕事を見せ、それに引き続いての参加だった。制作会社が、土田プロダクションから、東映動画(現・東映アニメーション)に変わったのに、同じ枠に各話の作画チームが居残ったかたちになったのが面白い。僕が知る限り、ここまで東映動画作品に、スタジオジャイアンツの参加はない。ひょっとしたらTV局か代理店のプロデューサーが「あそこの連中を使ったら?」と東映動画側に言ったのではないかと、僕は妄想している。
 ただ、スタジオジャイアンツの『さすがの猿飛』チームが、そのまま『GU-GUガンモ』に参加していたわけではない。『さすがの猿飛』で一番派手なアクションを描き、終盤では作画監督も務めていた摩砂雪は、同じ4月に放映が始まった土田プロダクションの『らんぽう』に参加し、『GU-GUガンモ』では、志田正博が作画監督を担当している。
 『GU-GUガンモ』は原画でクレジットされる人数に制限があり、参加した原画マンの一部しか表示されない。そのため参加したアニメーターの全貌はつかめないが、スタジオジャイアンツ回には摩砂雪、音無竜之介、増尾昭一、深沢幸司、上山直美、新岡浩美といったメンバーが参加。摩砂雪の参加は後半が多い。『らんぽう』が短命なシリーズで終わったため、途中から『GU-GUガンモ』に合流したのだろう。
 アクションものでもあった『さすがの猿飛』に対して、『GU-GUガンモ』は派手な動きは多くない。また、「第217回 『GU-GUガンモ』その3 26話B」でも触れたように、東映動画(現・東映アニメーション)作品には、厳しい作画枚数の制限がある。そういった事情もあり、『GU-GUガンモ』のスタジオジャイアンツ回は、『さすがの猿飛』の時のように動かしまくっているわけではない。抑えるところは抑えて、動かすところは気合いを入れて動かすかたちだった。僕はそのメリハリがついている感じが好きだった。
 志田正博のキャラクターは、形の捉え方がシンプルで、描線はシャープ。グラフィックな印象すらあった。特に少女キャラについては、その画風が際立っていた。井上俊之が描く女の子達が肉感的だったのと好対照で、彼が描くキャラクターも可愛らしく、人気があった。
 『GU-GUガンモ』で、スタジオジャイアンツが最初に手がけたエピソードが、6話B「わたしはドール」(作画監督/志田正博、演出/池田裕之)だ。デジャブーが、いたずらでガンモに似た鳥のヌイグルミの中に入り、ガンモと間違われて酷い目に遭ってしまう。ストーリーはあっさりしたものだったが、全体にセンスのよい仕上がりで「さすがはジャイアンツだ」と思った。デジャブーが入ったヌイグルが、つくねに蹴り飛ばされて、家の中でピンボールのボールのようにあちこちにぶつかるカットのショック表現(ショックを受けた時に、吹き出しが出て、その中にヌイグルミの中のデジャブーの姿が見える)や、道で西郷の妹に踏みつけられる時のショック表現が、実にシャープだった。

第220回へつづく

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(09.09.30)