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【情報局】アニメ音楽CD瓦版(19)
『少女革命ウテナ』『銀河鉄道999』のBOXが発売!


 9月最初の「瓦版」は2つの大作CD-BOXを中心に取り上げたいと思う。まず今月と11月にDVD-BOXの発売が控えている『少女革命ウテナ』だ。一足早く、先月27日には10枚組のボリュームで関連CDを網羅する『少女革命ウテナ』コンプリートCD-BOXが発売中である。
 『ウテナ』といえば、まずJ.A.シーザーの合唱曲を思い浮かべる方も多いかもしれない。音楽が重要な位置を占める作品だけに、このCD-BOXに期待を持っているファンも多数いることと思う。幸いサンプル盤を入手することができたので、やや詳しく内容を紹介してみたい。
 まずは外装から。BOXのジャケットイラストは勿論さいとうちほの描き下ろし。各ディスクは薄型のマキシタイプで、ピンク地にウテナとアンシーの影絵風イラストがあしらわれている。まず『ウテナ』らしさを踏まえたデザインだと言えるだろう。
 ブックレットは120ページとなかなか力が入っている。歌詞、場面カット集、そして幾原監督と音楽の光宗信吉へのインタビューが主なコンテンツだ。面白いのは、一部の楽曲に光宗本人による楽曲解説や、楽曲発注用の音楽メニューまで盛り込んでいること。これはなかなかにマニア心をくすぐるサービスである。
 肝心の収録内容を書くのが後になってしまったが、TVシリーズのサントラ3作「絶対進化革命前夜」「バーチャルスター発生学」「体内時計都市オルロイ」、劇場サントラ「アドゥレセンス・ラッシュ」を始めとした『ウテナ』関連CDから8作、計9枚をリマスターしたものだ。楽曲面では光宗信吉による華麗な劇伴の数々と、決闘シーン等で流れるJ.A.シーザーのアヴァンギャルドな合唱曲がコントラストを成して、独特な世界観を作り出しているのが特徴的である。
 そして今回のBOXの目玉として、「絶対運命舞踏会-UTENA in the CLUB-」と題された新録の特典ディスクが付いてくる。このディスクは文字どおり『ウテナ』の主題歌や挿入歌をダンス音楽風に再アレンジしたもので、幾原監督自身によるアイディアだそうだ。ボサノバ、サンバ、マンボ、ハワイアンなど、およそ『ウテナ』のイメージとはかけ離れた曲調になっていて面白い。「絶対運命黙示録」などは予想以上にボサノバに馴染んでいるが、それが逆に可笑しかったりするのだ。この特典ディスクについては公式サイトに収録曲のサンプルがあるので、興味のある方は聴いてみて頂きたい。
 さて、次に紹介するのもBOXなのだが、既に入手は困難かもしれない一品、放送30周年記念 ETERNAL EDITION PREMIUM『銀河鉄道999』GALAXY CD-BOXだ。タイトルからしてもう豪華だが、内容も劣らずズッシリとヘヴィ級なのである。こちらは今月9日の発売予定となっている。
 TVシリーズのサントラ「組曲 銀河鉄道999」、主題歌・挿入歌セレクションの「銀河鉄道999」、大ヒットした劇場第1作のサントラ「交響詩 銀河鉄道999」、続編の「交響詩 さよなら銀河鉄道999」など合計9枚組。既にコロムビアの廉価盤「ANIMEX 1200シリーズ」やセット販売の「GALAXY EXPRESS 999 ETERNAL EDITION」で発売済みのタイトルも多いが、4枚組LP「銀河鉄道999 想い出の名場面&BGM総集編」からの音源や、松竹歌劇団(SKD)が1982年に行った舞台公演からの「銀河鉄道999 in SKD・ライヴ」など未CD化のレアな内容も含まれているようだ。
 限定999セットの販売ということで、欲しい方は早めに確保しておいた方がいいかもしれない。Amazonでは既に予約締切のようである。
 残念ながら上記の『999』BOXを入手できなかった方や、主題歌だけに興味がある方にはこちらがおすすめ。放送30周年記念 『銀河鉄道999』ソングコレクションだ。こちらもBOXと同様9日に発売予定。
 ささきいさおの歌うTVシリーズ主題歌、ゴダイゴによる劇場第1作の主題歌など、お馴染みの楽曲を始めとした主題歌集である。ちなみにBOXの方にも同じ内容のディスクが入っているので、既に入手している方は注意して頂きたい。
 最後に、先月紹介し損なった重要作品をひとつピックアップしよう。8月2日から公開中の押井守監督の最新作『スカイ・クロラ』より『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』OST「SOUND of The Sky Crawlers」である。アニメスタイルでも絵コンテ本を出すなど注目している作品だ。(関連記事はこちら
 音楽を担当するのは、押井監督とのコンビも20年以上となる川井憲次。近年では実写映画の方でも毎年数本を手がけるなど、引っ張りだこのようだ。アニメの劇場作品としては『INNOCENCE』以来ということになる。
 歌心のあるストリングスを中心とした、いつもの「川井節」は健在だが、今回はそれに加え作品を象徴する楽器としてハープをフィーチャーしているのがポイントだろう。これは押井監督自身による発案だという。特にアイリッシュハープの素朴で物悲しい音色は、作品の方向付けに大きな役割を果たしているように思う。お馴染み西田社中による民謡コーラスも、今までとはかなり違うかたちで用いられていて興味深い。
 メインテーマの美しさは川井憲次の真骨頂。映画を観て気になった方は、サントラの方もチェックしてみて頂きたい。(W)

『少女革命ウテナ』コンプリートCD-BOX
KICA-920〜8/12,600円/キングレコード
発売中
[Amazon]

放送30周年記念 ETERNAL EDITION PREMIUM『銀河鉄道999』GALAXY CD-BOX
COCX-35145〜53/19,999円/コロムビアミュージックエンタテインメント
9月9日発売予定
[Amazon]

放送30周年記念 『銀河鉄道999』ソングコレクション
COCX-35154/2,415円/コロムビアミュージックエンタテインメント
9月9日発売予定
[Amazon]

『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』OST「SOUND of The Sky Crawlers」
VPCG-84882/2,500円/バップ
発売中
[Amazon]

(価格はすべて税込)


(08.09.01)

 
 
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