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これが韓国アニメの実力だ!
2D+3D+ミニチュアで作られた『ワンダフルデイズ』


 やっぱりこのくらいの実力があるんだな。というのが『ワンダフルデイズ』を観た時の感想だった。『ワンダフルデイズ』は韓国の劇場アニメーション。国内では今春公開され、7月22日にDVDがリリースされる。「猟奇的な彼女」「僕の彼女を紹介します」のクァク・ジョエンがスーパーバイザーとして参加している事や、『オネアミスの翼 王立宇宙軍』『アベノ橋魔法☆商店街』等で知られる山賀博之がこの作品に惚れ込み、ガイナックスが国内での配給、日本語版の制作を担当したのも話題だ。

(C)TIN HOUSE 2003

 前から、韓国製アニメの質が高くなってきたという話はよく聞いていた。国内で放映されている日韓合作作品には国産のものに引けをとらないものもあるし、動画に関しては国内に出すよりも韓国に任せた方が質が高いといった話も聞く。TV放映で純韓国産の作品も目にしているが、特に3D作品に関しては感心する事も多い。
 宣伝の謳い文句を信じるならば『ワンダフルデイズ』は制作費13億円、製作期間5年。堂々たる規模の劇場作品である。西暦2142年。人類が引きおこした戦争のため、空が常に厚い雲に覆われてしまっている時代だ。地上に輝かしい光が射し込む日はWonderful Daysと呼ばれていた。選ばれた者たちが住む都市エコバンと、マール抵抗組織の闘いは激化している。マールとは、エコバンに住む事を許されなかった人々が住む街だ。かつてエコバンの人間であったが、ある陰謀のために今はマールにいるスハは、エコバンの心臓部への潜入。そこに、彼のかつての恋人ジェイが現れた。ジェイはエコバン警備隊の一員だったのだ。敵味方に分かれた2人と、かつてスハを陥れた警備隊のシモンを中心に、物語は展開していく。

(C)TIN HOUSE 2003

 支配者層と被支配者層の対立を背景に、男女3人のドラマを描くSFアクション。複雑な設定やひねったドラマを見慣れた我々の目からすると、物語はシンプルなものに映るだろう。注目すべきは映像である。まず、2Dの手描きアニメ、3DCG、ミニチュアを駆使して画面が作られているという事。緻密に作り込まれた背景の多くが、特撮映画のようなミニチュアセットを組んで、それを撮影したものなのだそうだ。これは面白い手法だ。都市の外観、室内などを見せながらカメラが移動するカットは、言われないで観れば、よくできた3DCGと思うだろう。また、ミニチュアセットの背景の中に、手描きのキャラクター、3Dのメカを組み合わせたカットもある。2D、3D、ミニチュアは、それぞれの特性を活かしたかたちで使い分けているという。
 見せ場の作り方や、キャラクターデザインは、いわゆるジャパニメーション的。シーンによっては、相当に作画がイケているところもある。ぶっちゃけた言い方をすれば、下手な国産の作品よりも、よっぽど「アニメ」として見応えがあったのだ。『ワンダフルデイズ』は、現代の韓国アニメの実力を見せつけてくれた。

 明日の更新では、監督キム・ムンセンへのインタビューを掲載する。また、公式サイトでは本編の特典映像だけでなく、ミニチュアを使ったシーンのメイキングも配信している。

●公式サイト
http://www.wonderfuldays.jp/

●オリジナルスタッフ
監督/キム・ムンセン
作曲/ウォン・イル
脚本/パク・ジュニョン/キム・ムンセン
制作/TIN HOUSE

●日本語版スタッフ
日本語脚本・演出/山賀博之(GAINAX)
プロデューサー/武田康廣(GAINAX)
翻訳/根本理恵
音響制作/テレシス、アオイスタジオ
「A Prayer」「Aria」日本語版歌詞/山賀博之

●日本語版キャスト
スハ/山寺宏一
ジェイ/真田アサミ
シモン/横堀悦夫 他

●DVD情報
『ワンダフルデイズ』
価格:5985円(税込)
発売日:2005年7月22日
収録内容:本編87分+特典映像12分(ミニチュア製作ドキュメンタリー他)、ブックレット封入
音声:日本語5.1ch/韓国語5.1ch
字幕:日本語/英語
発売元:ガイナックス
販売元:ジェネオン エンタテインメント
[Amazon]


(05.07.04)

 
 
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