アニメ音楽丸かじり(63)
高梨康治の『FAIRY TAIL』『NARUTO』が相次いでリリース!

和田 穣

 最近驚いたのが今月14日にPC/PSPのゲーム「ぐるみん」のサントラ盤が発売されたこと。老舗メーカー日本ファルコムの作品だが、「イース」「英雄伝説」のようなヒットシリーズではなく、3Dポリゴンのアクションという「知る人ぞ知る」異色の作品だった。PSP版は2006年に発売されたが、当時PSPには3Dのアクションゲームが少なかった事もあって大いに楽しんだものだ。ゲーム発売から5年が経過してのサントラ発売は、ファンの熱望あってのものだろう。

 今月は『FAIRY TAIL』、劇場『NARUTO』と、当代きっての人気作曲家・高梨康治の手によるサントラ2作が相次いで発売される。今回はこれを紹介していきたい。まずは7月6日にリリースされた『FAIRY TAIL』のサントラ第3弾だ。昨年7月のサントラ第2作から約1年の間隔があったが、その間もTVアニメは放映を継続しており、新しい楽曲のストックも着々と増えている。『FAIRY TAIL』サントラVOL.3は65分で30曲収録で、これまでと同様に主題歌の収録はない。各曲は1分半〜3分ほどの尺があり劇伴としてはやや長め。
 サントラの構成を担当した腹巻猫さんのブログによれば、今回の曲順は高梨康治による私家版サントラ(いわばお好みディスク)が元になっているそうだ。サントラの曲順はレコード会社の意向や、構成者の意見によって決まる場合もあるが、今回は作曲家の意図を比較的忠実に反映したケースと言えるだろう。
 1曲目は重厚で勇壮なテーマ曲、2曲目はアップテンポのスピードメタルという構成はサントラ第1作と同様。ただの劇伴というよりも1枚の音楽作品として楽しめる内容となっているのも、これまでどおりだ。もちろん音楽性はお馴染みのケルト風メタルで、もはや『FAIRY TAIL』の音楽はこれ以外考えにくいほどに馴染んでいる。作品のファン、サントラファンのほか、ロックファンにも訴求しそうなパワフルな1枚だ。

『FAIRY TAIL』ORIGINAL SOUNDTRACK VOL.3(音楽:高梨康治)

PCCG-01175/3,150円/ポニーキャニオン
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 『NARUTO』の劇場第8作となる『ブラッド・プリズン』が、7月30日から全国で劇場公開される予定だ。そしてこの作品のサントラが、早くも27日にリリースされる。全55分で28曲収録の予定。遊助による主題歌「雄叫び」は収録されない。初回版のみスリーブケース付属で、ピクチャーレーベル仕様となる予定だ。
 まだサンプル盤を入手できていないため各楽曲の詳細は不明なのだが、『NARUTO』の音楽を特徴づけている邦楽器の多用は今回も健在のようだ。高梨康治は、元竜童組の小針克之助(2009年逝去)が結成した和風ロックバンド・六三四(Musashi)のメンバーであり、1991年の結成から10年以上にわたって、三味線、尺八、和太鼓などの奏者と共にロックと邦楽器の融合に取り組んできた。そのひとつの到達点とも言えるのが『NARUTO』の劇伴の数々である。

『劇場版NARUTO-ナルト-ブラッド・プリズン』オリジナルサウンドトラック(音楽:高梨康治)

SVWC-7784/3,150円/アニプレックス
7月27日発売予定
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(価格はすべて税込)

(11.07.19)