アニメ音楽丸かじり(19)
『舞-HiME』コンピ、『真マジンガー』サントラが発売!

和田 穣

 10月24日、東京国際フォーラムにて「Soul-G 〜すべての戦士に捧げる音楽祭〜」と題したイベントが開催される。これは『機動戦士ガンダム』の放映開始30周年を記念して、歴代シリーズの主題歌をオリジナルのアーティストが歌うという企画だ。出演が予定されているのは麻倉あきら、鮎川麻弥、新井正人、石川智晶、鵜島仁文、川添智久、高橋瞳、MIQ、森口博子、米倉千尋など。ゲストとして古谷徹も参加予定だ。
 アニメ主題歌を中心にしたイベント・ライブは現在では珍しくないが、これだけ『ガンダム』に特化し、しかも多くの主題歌担当アーティストを揃えたのはなかなかに貴重。『ガンダム』シリーズの主題歌には名曲も多く、ファンには楽しみなイベントになるだろう。詳しくは公式ページを参照してほしい。
 また、これらの参加アーティストが中心となって初代『機動戦士ガンダム』の主題歌「翔べ!ガンダム」「永遠にアムロ」をカバーしたシングルCDも発売される。これは7月に名古屋で開催されたイベント「生誕30周年祭 in NAGOYA ガンダムTHE FIRST 〜未来創造の世紀へ〜」の会場限定で発売されていたものを、今回初めて一般向けにリリースしたもの。

2009「翔べ!ガンダム」&「永遠にアムロ」

VTCL-35130/1,000円/フライングドッグ
10月21日発売予定
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 前回の記事に書いた「ランティス祭り」にて耳にした楽曲の中で、すぐにCDを購入してすっかり中毒になってしまったのが9月25日リリースの遠藤正明「環境超人エコガインダー」だ。ちょっとアニメ音楽からは外れてしまうが、今年3月までキッズステーションで放映されていた、エコロジーをテーマにした特撮番組のOP主題歌となっている。
 資源のムダ使いを戒める啓蒙的な歌詞と、JAM Projectを思わせる熱血ロックサウンドとのミスマッチがなんとも面白い。かつてはロックといえば反体制の象徴だった時期もあったが、今はロックでエコロジーを叫ぶ時代なのだ。
 なにより「エコがイイ!」と繰り返すコーラスがキャッチーで覚えやすく、「ZETTAI!」の掛け声もライブで盛り上がるにはうってつけ。遠藤正明にとっては新たな代表曲となるのではないか。自身のコンサートでは勿論、彼が参加するアニメ関連イベントでも定番になりそうなポテンシャルの高さを感じる。

「環境超人エコガインダー」遠藤正明

LACM-4664/1,200円/ランティス
発売中
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 同じく9月25日にランティスから一風変わったコンピレーションアルバムが発売されている。『舞-Hime』『舞-乙Hime』『宇宙をかける少女』といったサンライズ第8スタジオで制作されたアニメの主題歌、キャラソン、BGMをまとめた企画盤「舞-HiME、そして舞-乙HiME&0〜S.ifr〜&宇宙をかける少女 COMPILATION〜少女たちの絆〜」だ。サンライズのアニメ主題歌をまとめたコンピレーションはよくあるが、美少女キャラクターに強い第8スタジオに特化したところが面白い。
 内訳は『舞-Hime』からOP「Shining☆Days」、キャラソン1曲、BGM3曲。『舞-乙Hime』からラジオ主題歌「半熟ヒロイン☆」、ゲーム版主題歌「阿修羅姫」、BGM3曲。OVA『舞-乙HiME Zwei』からは「乙女はDO MY BESTでしょ? 2007ver.」を、『舞-乙HiME 0〜S.ifr〜』からは主題歌「ここにあったね」とBGM5曲を収録。そして最新作『宇宙をかける少女』からOP「裸々イヴ新世紀」とED「宇宙は少女のともだちさっ TVサイズ type.S」およびBGM6曲という構成となっている。
 残念ながら新規録音はなく、またすでに各作品のボーカル集やサントラが多数リリースされているため、これらを揃えている人にとってはあまり旨味がないだろう。ただ最近になってサンライズ8スタの作品に興味を持った人には、入門編としてもってこいの1枚だと思う。

「舞-HiME、そして舞-乙HiME&0〜S.ifr〜&宇宙をかける少女 COMPILATION〜少女たちの絆〜」

LACA-5956/3,000円/ランティス
発売中
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 9月で放映を終了した『真マジンガー 衝撃!Z編 on television』は、初回から意表をつく展開で楽しませてくれた作品だった。文字どおり衝撃的だった終盤の展開については賛否両論あるだろうが、続編の制作を大いに期待させる内容だったように思う。
 この作品のサントラ第2弾が10月7日にリリースされた。音楽を担当するのは、これが初のTVアニメーション起用となる宮川彬良。父親が『宇宙戦艦ヤマト』等でお馴染みの作曲家・宮川泰という血筋だ。
 楽曲はオーケストラおよび吹奏楽、そしてジャズアンサンブルが大半を占め、ほとんどが生楽器だ。1980年代以前のアニメ・特撮音楽を強く意識した編成ではないかと思う。重々しいブラスセクションのユニゾンや不協和音、「ドロロロ……」というティンパニソロでのロールなど、近年ではあまり見られなくなった劇伴の古典的なアプローチが随所にあり、古色蒼然とした雰囲気が作品によくマッチしている。
 JAM ProjectによるOP「守護神—The guardian」とSKE48が歌うED「強き者よ」もそれぞれTVサイズで収録。アフロダイAを配したジャケットデザインもポップでなかなかに好印象だ。

『真マジンガー 衝撃!Z編 on television』OST2

LACA-5966/3,000円/ランティス
発売中
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(価格はすべて税込)

(09.10.13)